タイトル | 沖縄における導入初期段階のイチゴ生産・流通システム |
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担当機関 | 沖縄県農試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
相原貴之 河野恵伸 津波優子(沖縄県農試) |
発行年度 | 2002 |
要約 | 沖縄の農家にとって新規作物であるイチゴを導入する場合は、鮮度を最優先した生産・流通システムを採ること及び他作物との競合・栽培技術習得環境の制約等のためなるべく小さな規模(2~2.5a)から始めることが重要である。 |
キーワード | 沖縄、新規作物、イチゴ、流通 |
背景・ねらい | 現在沖縄で流通しているイチゴは主に航空便輸送で、収穫2~3日目の販売になる。航空便は途中、コールドチェーンが途切れるとともに煩雑な荷物の積み替えによって荷傷みする。このため、販売日数は1日~2日と棚持ちの悪い商品になっている。しかし、県産なら当日又は2日目販売が可能になり、県外産並の味と外観が確保できれば、鮮度の良い県産イチゴは魅力ある商材になりうる。 そこで、沖縄県で栽培可能であることが明らかになったイチゴ(さちのか)を対象に、導入初期段階で求められる生産・流通システムを策定する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 県外産のイチゴに対する差別化のため、鮮度を最優先とし、収穫日の午前中に販売開始できるような収穫・調製・出荷方式及び流通システムが必要である。このため、生産地近くの直売所等での販売が中心になる。その際、収穫日・時刻を表示する等鮮度の良さをアピールすることが重要である。 2. ゴーヤ等他作物との競合、栽培技術習得環境の制約、初期投資の低減等のため、野菜・花き等用のハウスを所持している農家が、なるべく小さな規模(2~2.5a)から導入することが適当である。 3. 長期間にわたる育苗、短日夜冷処理作業等の理由により、当面、苗は外部からの購入になる。 (以上、図1) 4. 出荷量625kg/2.5a(沖縄県園芸支場)、単価1,073.6円/kg(沖縄県中央卸売市場H10~14年の月別旬別平均)、購入苗を自家生産苗コスト試算に基づいて単価81.2円、数量1,710株を用いて試算すると、2.5aで出荷額672千円、所得264千円が見込まれる(表1)。 5. 労働面では、8月中下旬(自家苗生産の場合)、11月上下旬(定植)、12月下旬(最初の収穫)に作業のピークが見られ、旬別労働時間は20hr/2.5a近くになる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ミカンキイロアザミウマ(キクえそ病を媒介)の侵入を防ぐため、県内苗供給体制の確立が必須の前提条件である。 2. 総コストに占める自家労賃の割合が高く(約43%)、更なる栽培技術の省力化の検討が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育苗 いちご きく コスト 栽培技術 出荷調整 省力化 輸送 |