近赤外分光分析法によるゴマ種子の油分含量・脂肪酸組成比の非破壊測定

タイトル 近赤外分光分析法によるゴマ種子の油分含量・脂肪酸組成比の非破壊測定
担当機関 (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2002~2002
研究担当者 Aye Aye Maw(ミャンマー中央農研)
佐藤哲生
勝田(石)真澄(作物研)
発行年度 2002
要約 ゴマ種子数gを測定用カップに入れ、ガラスカバーをして表面を揃え、近赤外分光析器にて測定すると、ゴマ種子の油分含量・脂肪酸組成比が、簡易・迅速かつ非破壊的に測定できる。
背景・ねらい ゴマの育種あるいは搾油の現場においては、油分含量・脂肪酸組成の速やかな分析が望まれている。しかしながら、従来の湿式化学分析では多くの手間と時間を要する。このため、近赤外分光分析法によるゴマ種子の油分含量・脂肪酸組成の非破壊迅速測定法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
全粒ゴマ種子約3gを測定用カップのくぼみに満たし、ガラスカバーをして表面を揃えて、近赤外分光析器にて測定する。
2.
得られたスペクトル値と別に求めた化学分析値とを用いて、解析によりキャリブレーション式を導く。これらを用いると、ゴマ種子の油分含量・脂肪酸組成比(パルミチン酸組成比を除く)が、簡易・迅速かつ非破壊的に測定できる(図1)。種皮色が白、黄褐色、茶褐色、黒色のゴマ種子に対し、予測の際の誤差(SEP)は、油分:1.431%、パルミチン酸組成比:0.616%、ステアリン酸組成比:0.348%、オレイン酸組成比:1.051%、リノール酸組成比:0.826%である。
3.
キャリブレーション式を用いないで、近赤外スペクトル・パタ-ンからリノール酸組成比を測定することもできる。近赤外2次微分スペクトルの1600nmの値を0、1724nm付近の極小値を-1となるように換算すると、スペクトルの特徴が明確となる。リノール酸が多い場合、1708nm付近でスペクトルの強度が下向きに強くなる(図2の実線)。ただし、黒ゴマ種子の場合、通常と違うパターンを示す(図2の破線)。
4.
近赤外2次微分スペクトルの1708nmの読みとリノール酸組成比との相関図(図3の白丸)から示されるように、大まかな測定が可能である。黒ゴマ種子(図3の黒丸)を除いて、相関係数が-0.786となり、一波長の使用でも、許容できる精度で測定可能である。
成果の活用面・留意点 1.
水分含量(r=0.958,SEP=0.318%)・タンパク質含量(r=0.916,SEP=0.830乾物重%)等他の成分も測定可能である。
2.
黒ゴマ種子の近赤外スペクトル・パタ-ンについては、さらに検討を要する。
3.
リノール酸組成比については、原粒の単粒子実の場合でも、小さい種子用の一粒カップを用いて、近赤外スペクトルを計測すれば、複数粒と同様のスペクトルの挙動となる。単粒の場合の近赤外2次微分スペクトルの1708nmの読みとリノール酸組成比との相関係数は-0.830となり、簡便に非破壊的に把握できるので、これを選抜指標に用いると育種効率が向上する。
図表1 222058-1.gif
図表2 222058-2.gif
図表3 222058-3.gif
カテゴリ 育種 ごま

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