タイトル | 乳牛が肢蹄疾患になりやすい環境と生理状態 |
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担当機関 | 福岡農総試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
北崎宏平 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ロジスティック回帰分析法により、乳牛の肢蹄疾患の発生に関与する畜舎環境上のリスクと生理的リスクを明らかにした。これは、各農家で肢蹄疾患になりやすい牛を早期に発見するための目安となる。 |
背景・ねらい | 乳牛の肢蹄疾患による損害を低減するためには、早期発見に努めること、および誘因となる飼養条件を改善することが重要である。当場では平成12~13年度に県内の肢蹄疾患の疫学調査(つなぎ牛舎19戸・340頭、フリーストール牛舎8戸・172頭、合計27戸512頭)を実施し、この結果から「削蹄作業を利用した簡易診断表」を作製した。今回はその疫学調査成績を用いて、肢蹄疾患に関与する畜舎環境上および生理上の因子をロジスティック回帰分析法により抽出する。 |
成果の内容・特徴 | 1. つなぎ牛舎では、「牛床が短く段差がある」と関節周囲炎に、「敷料が少ない、あるいは極わずか」であると蹄踵びらん、白帯病、蹄底出血・蹄底潰瘍、関節周囲炎など各種の肢蹄疾患になりやすくなる。また、「牛床がふん尿で湿潤している」と蹄踵びらんと白帯病になりやすい(表1)。 2. つなぎ牛舎では、「仕切柵の位置が低い」、「厩栓棒の位置が低い」ことや、「分娩、育成施設の不備」などによって各種の肢蹄疾患になりやすくなる傾向にある(表1)。 3. フリーストール牛舎では、「通路、牛床がふん尿で湿潤している」と蹄踵びらん、白帯病および蹄底出血・蹄底潰瘍になりやすくなる(表2)。 4. 「受胎時期」、「産次数」、「体格(BCS)」、および「乳期」、「乳質」などの生理的リスクの情報は、肢蹄疾患なりやすい牛を早期に発見するための手がかりとなる(表3)。 5. 肢蹄疾患は互いに併発しやすく、同時に複数の肢蹄疾患になる危険性が高い(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 農家自身が肢蹄疾患が発生するリスクを把握し、早期発見や予防対策を検討するときの参考資料として活用できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 簡易診断 削蹄 乳牛 |