タイトル | 妊娠初期豚を用いる胚の採取およびマイクロドロップレット法のガラス化保存胚移植による子豚生産 |
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担当機関 | 佐賀畜試 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
池田博司 岩永致悦 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 妊娠初期豚の人為的流産・発情誘起排卵処置により豚胚の採取が可能である。また、採取胚のマイクロドロップレット法によるガラス化保存胚の外科的移植により産子が得られる。 |
キーワード | 豚胚、ガラス化保存、マイクロドロップレット法 |
背景・ねらい | 豚胚の超低温保存は、系統豚など優良種豚の長期保存や伝染性疾病を防除するための胚での優良遺伝形質の導入などに応用できる技術である。しかし、豚胚は低温感受性が高く凍結・融解後の生存性は低い。疾病防除には透明帯を有する胚の保存が不可欠であることから、体外培養系が確立されていない豚胚では採取胚の発育ステージが重要である。そこで、妊娠初期豚を用いる人為的流産・発情誘起排卵処置による胚の採取およびマイクロドロップレット法によるガラス化保存胚の外科的移植による産子生産を目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 人工授精後16~28日目のランドレース種妊娠豚を供胚豚として用い、クロプロステノール(プラネート,住友製薬)による人為的流産処置を行い、ホルモン剤(eCG,hCG)を用いて発情誘起排卵処置後に人工授精を実施する。胚の採取は初回人工授精日(hCG投与翌日)を0日として5日目(以下day5)および6日目(以下day6)に行う。 2. 妊娠初期豚を用いる胚の採取は、day5で胚盤胞から拡張初期胚盤胞(直径180μm未満)が70%、day6で拡張初期胚盤胞から拡張胚盤胞が62%と高い採取率である(表1)。 3. マイクロドロップレット法は、家畜改良センター方式に従って行い、ガラス化液は40%エチレングリコール+0.6Mシュクロース+2%ポリエチレングリコールを含むM2液を用いる。 4. 胚盤胞・拡張初期胚盤胞のガラス化・融解後の体外培養で、高い生存率(24時間後:80%以上)が得られる。しかし、透明帯脱出胚は少ない(表2)。 5. ガラス化保存胚の外科的移植はday3の受胚豚を用いて、5頭の受胚豚に1頭あたり14~40個の胚を移植したところ、3頭が受胎し2頭が分娩、合計5頭の正常産子を得た(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 純粋種(ランドレース種)のガラス化保存胚による子豚生産が可能となる。 2. ガラス化・融解後の胚の生存率は高いが、産子生産率が低いことから、更に受胎率向上技術の検討が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 受胎率向上 豚 防除 |