タイトル | 果菜類の害虫ミナミキイロアザミウマに対するヒメハナカメムシ3種の必要放飼比率 |
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担当機関 | 鹿児島県蚕業試験場 |
研究期間 | 1999~2005 |
研究担当者 |
井上栄明 浦野 知(九州沖縄農研) 柿元一樹 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ヒメハナカメムシ3種の温度別繁殖パラメータおよび最大捕食量のデータを用い,ミナミキイロアザミウマに対する抑制能力(害虫/天敵比)を算出した。この値により,天敵3種を大量放飼する際の理論的必要放飼頭数と追加放飼の意思決定について判断支援ができる。 |
キーワード | タイリクヒメハナカメムシ,ナミヒメハナカメムシ,コヒメハナカメムシ,ミナミキイロアザミウマ,必要放飼比率 |
背景・ねらい | 生物的防除資材を用いた総合的病害虫管理技術を確立する一環として,アザミウマ類に対する土着の捕食性天敵ヒメハナカメムシ3種の利用法に関する理論的判断基準値を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. タイリクヒメハナカメムシおよびナミヒメハナカメムシ,コヒメハナカメムシの室内実験で得られた温度別の最大捕食量・生存率・繁殖パラメータとミナミキイロアザミウマの内的自然増加率(河合,1985)を用い,浦野ら(1998)の解析モデルに従って,温度別,種別にキュウリ上における理論的必要放飼比率(害虫/天敵比)を算出した(図1)。 2. 天敵3種の抑制能力は,20~26℃の中間温度域では変わらないが,17℃ではナミヒメハナカメムシが最も低く(天敵/害虫比=335/1),29℃ではタイリクヒメハナカメムシが最も高い(天敵/害虫比=284/1)(図1)。 3. 既に天敵が圃場へ定着し,成,幼虫が混在する条件下での追加放飼の必要性についても意思決定支援が可能である(図1)。 4. 今回の必要放飼比率から,モニタリングによって対象作物の着生葉(花)および害虫密度を把握することにより,温度別および放飼天敵の種別,作物別に,より具体的な理論的必要放飼頭数を算出することが可能である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 今回のミナミキイロアザミウマの内的自然増加率はキュウリ葉上での値(河合,1985)を用いているが,依頼があればメロン,ナス,ピーマンについても必要放飼比率を算出し,理論的必要放飼頭数を返答できる。 2. 必要放飼比率は2月以降の長日条件を仮定した場合の理論値であり,実際に放飼した事後評価を加えることにより,ヒメハナカメムシ利用技術の高度化が図れる。 3. コヒメハナカメムシは2003年4月現在農薬登録されていないが,特定農薬の範囲内で使用可能である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 害虫 カメムシ 管理技術 きゅうり 生物的防除 特定農薬 なす 農薬 繁殖性改善 ピーマン ミナミキイロアザミウマ メロン モニタリング |