水稲奨励品種「越南176号」の特性

タイトル 水稲奨励品種「越南176号」の特性
担当機関 鹿児島県農試
研究期間 1999~2003
研究担当者 若松謙一
田之頭拓
東孝行
吉田典夫
発行年度 2003
要約 水稲「越南176号」は、「コシヒカリ」に比べて出穂期で約1日、成熟期で約4日遅い早生の晩である。短稈で耐倒伏性が強く、千粒重が重く、収量性が高い。食味はコシヒカリ並の良食味である。
キーワード 奨励品種、早期水稲、良食味、粳種
背景・ねらい 鹿児島県の早期水稲は、粳種のほぼ100%を「コシヒカリ」が占めている。しかし、「コシヒカリ」は耐倒伏性が劣ることや、いもち病に弱い欠点がある。さらに、一品種集中による収穫作業や共同乾燥施設の競合、病害虫や気象災害による被害が集中するなどの問題が起きている。このため、「コシヒカリ」と作期分散ができ、食味が「コシヒカリ」と同等以上に良く、栽培特性が優れた品種に対する要望が行政、生産者から強く求められている。
成果の内容・特徴 「越南176号」(越南148号/北陸148号[どんとこい]:福井県農業試験場)は、「コシヒカリ」と比較して次の特性を有する。
  1. 出穂期で1日、成熟期で4日遅い“早生の晩”である(表1)。
  2. 稈の剛柔は“やや剛”で、稈長が約10cm短く耐倒伏性は強い(表1)。
  3. 止め葉は立ち、草姿は良い。
  4. 穂数は少なく、一穂籾数はやや多い(表1、表2)。
  5. 玄米の千粒重が重く、収量性は高い(表2、図1)。
  6. 玄米の外観品質は同程度かやや劣る(表2)。
  7. 食味は、外観、粘りが優れ、総合評価は「コシヒカリ」並に優れる(表3)。また、玄米タンパク質含有率は「コシヒカリ」より明らかに低い(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 早期栽培地帯の作期分散を図る必要のある地域を対象に、「コシヒカリ」の一部に替えて約1、500haに普及予定である。
  2. いもち病真性抵抗性遺伝子“Pita-2”をもつことから、現状ではいもち病の発生は見られないが、侵害菌の動向に注意する。
  3. 耐冷性が“やや弱”のため、極端な早植えを避け、4月植えをめやすとする。
  4. コシヒカリに比べて登熟期間がやや長いので早期落水は避け、登熟および品質の向上に努める。
  5. 籾数が多くなりすぎると品質が低下することがあるので,多肥栽培は避ける。
図表1 222330-1.jpg
図表2 222330-2.jpg
図表3 222330-3.jpg
図表4 222330-4.jpg
図表5 222330-5.jpg
カテゴリ いもち病 害虫 乾燥 水稲 抵抗性遺伝子 品種 良食味

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