ウシ胚の生存性を向上する超急速ガラス化保存法の開発

タイトル ウシ胚の生存性を向上する超急速ガラス化保存法の開発
担当機関 福岡農総試
研究期間 2000~2004
研究担当者
発行年度 2003
要約 極少量ガラス化液で超急速ガラス化できる用具を考案し、これを用いウシ体外胚をガラス化すると加温後の生存性が向上する。
キーワード ウシ、胚、ガラス化
背景・ねらい 従来の緩慢冷却法でウシ胚を凍結保存すると保存融解後の生存性が落ちるため、受胚ウシに移植しても、産子の生産性に限界がある。そこで、生存性が落ち難い保存法であるガラス化法に改良を加えて、ウシ胚を瞬時にガラス化できる超急速ガラス化保存法の用具を作製して、胚の生存性の高い保存法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 超急速ガラス化保存に用いる用具は2.5号の釣り糸の一端を平らにし、角度をつけることで簡易に作製できる。この用具を用いるとウシ胚のガラス化に必要なガラス化液が極少量(0.26μl/胚)ですむため超急速冷却が可能になる(図1)。
  2. ウシ胚の超急速ガラス化保存および加熱・耐凍剤希釈等は以下の手順で行う(図2)。
    (1)顕微鏡下でガラス化液に平衡したウシ胚を糸の先端の平らな部分に、極少量のガラス化液とともに滴下する(イ)。
    (2)素早く液体窒素に投入し、ピンセットでサンプルチューブに導入して(ウ)、液体窒素とともにキャップをして液体窒素ボンベで保存する(エ)。
    (3)加温はサンプルチューブから糸を液体窒素中に引き出し(オ)、素早く希釈液に投入して、ガラス化液の希釈を行う(カ)。
  3. ウシ体外胚をこの方法で超急速ガラス化すると、緩慢冷却法と比べて、加温培養後の胚生存性が有意に向上する(図3)。
  4. 超急速ガラス化保存法は緩慢冷却法と比べて、作業時間が短くてすむため省力化でき、かつ、高価なプログラムフリーザーを用いないでよいため経済的である。
成果の活用面・留意点
  1. ウシ胚を保存する場合に、高い生存性を維持したまま簡易に保存できる技術として、胚移植機関で利用できる。
  2. 使用する釣り糸に有色糸を用いたり、滴下部の反対端に有色タグを装着すると、液体窒素中での用具の認識やガラス化胚の識別が可能となる。
  3. 極低温の液体窒素を使用するため、ピンセットは熱伝導性が低い素材のものを使用し、凍傷等に留意する。
図表1 222376-1.jpg
図表2 222376-2.jpg
図表3 222376-3.jpg
カテゴリ 省力化

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