タイトル |
タイリクヒメハナカメムシの生殖休眠に与える温度の影響 |
担当機関 |
鹿児島県蚕業試験場 |
研究期間 |
1999~2005 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
日本本土に生息し、ある条件下で休眠性を示すタイリクヒメハナカメムシ個体群の休眠誘起は,日長だけでなく温度の影響も受け,年間通して休眠誘起を阻止するためには摂氏22度以上の高温が必要である。
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キーワード |
タイリクヒメハナカメムシ,捕食性天敵,土着天敵,生物的防除資材,休眠
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背景・ねらい |
ある条件下で休眠性を示す日本土着のタイリクヒメハナカメムシの休眠誘起に与える温度の影響を調べ,本種を冬季施設園芸で利用する場合の基礎資料を得る。
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成果の内容・特徴 |
- 短日条件(11L13D)におけるタイリクヒメハナカメムシの休眠率は飼育温度が高くなるにつれて低下し,休眠誘起の臨界温度は摂氏18度付近である(図1)。
- 11月上旬~12月上旬に摂氏20度以下で,12月上旬~1月上旬に摂氏18度で飼育されると休眠率が高く,冬季で最も休眠率が高くなるのは11上旬~12月上旬に育った個体群である(図2)。
- ヒメハナカメムシ類が休眠誘起因子を感受するステージは主に5齢幼虫であることが分っている。本研究の自然日長条件下で行った実験では、各温度区とも11月個体群の5齢幼虫は冬至前の11月下旬~12月上旬、12月個体群は冬至後の12月下旬~1月上旬に育っている。この時期の絶対的な日長時間はほぼ同じ(11L13D)でありながら、11月個体群の休眠率よりも12月個体群の休眠率が低くなっており、これは12月個体群の5齢幼虫は日長が長い方へ変化する時期に育ったことによる可能性が高い。したがって、本種の休眠誘起には、臨界日長と温度以外に、日長の変化も影響することが示唆される。
- 摂氏22度以上であれば,いずれの季節に育ってもほとんど休眠しないため(図2),冬季施設園芸においてタイリクヒメハナカメムシ土着個体群を用い,年間を通して繁殖を期待するためには摂氏22度以上の高温が必要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 異なる作物,条件においてタイリクヒメハナカメムシを利用した場合の成功・失敗を考察するための一つの基本的情報として活用できる。本実験には鹿児島個体群を用いたが、温度や日長に対する反応は地域個体群によって異なることから、本情報を活用する際には地域性を十分に考慮する必要がある。
- 温度は変温条件を考慮せず,施設内の平均気温を想定した場合である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
カメムシ
施設園芸
生物的防除
土着天敵
繁殖性改善
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