タイトル |
子いも分離が可能な自走式サトイモ収穫機 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
開発した自走式サトイモ収穫機は、機体前部のプレスローラで畦上から圧縮し、親いもと子いもを分離しながら掘取る機構で、子いもの分離率は70%以上、作業能率は掘取3.5h/10a(延べ10.4h/10a)、未分離いもはずし延べ9.2h/10aの計19.6h/10aで慣行作業の約1/2に短縮できる。
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背景・ねらい |
鹿児島県のサトイモ栽培面積は1,600haで主力品種の石川早生丸は全作付け面積の約60%を占めている。石川早生丸は収穫作業における子いも分離作業に多労を要し、規模拡大の大きな阻害要因となっているため、本県で開発したサトイモ収穫機がより実用化に即した機械となるよう、現地実証を行いながら機械の開発改良を進めた。
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成果の内容・特徴 |
- 開発機は自走式で、掘取部のプレスローラでいも株を畦上から圧縮して、土中で子いもを分離させた後、掘取搬送コンベアで土篩いを行いながら掘り上げ、選別コンベア上で補助者が親株を収納部の親株タンクに入れ、分離された子いもは子いもタンクに収納する構造になっている。全長461cm、全幅188cm全高164cm、全重2,418kg機関出力は18.8kw(25ps)、走行部はゴムクローラ(HST駆動方式)である。タンク積載量は子いもタンク、親株タンクともに約250kgである(図1、図2)。
- 作業精度は、子いもの分離率は、71~77%、中生品種では82%である。いもの品質は正常いもが80~92%であったが、出荷に支障となる皮剥け大は概ね5%未満、収穫ロスも3%未満である(表1)。
- 作業能率は、3.5h/10a(延べ10.4h/10a)であり、親株からの未分離子いもはずしに延べ9.2h/10a程度要するが、慣行作業(45h/10a)の約1/2に短縮できる(表2、表3)。
- 開発機はクローラ幅28cm、クローラ中心距離が104cmあることから、隣接畦の踏圧を避けるためには、畦幅は90cm以上必要である。
- 開発機で収穫したいもの大型選果場への適応性は、フレコンでの受け入れには選果場の受け台の改良で対応可能であり、その後の選果ライン(夾雑物除去~孫いもはずし~ひげ根取り~選別~箱詰め)での遅れ等もなく、選別後のいも品質(損傷程度)についても慣行作業のいもと遜色ない。
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成果の活用面・留意点 |
- 開発機は共同開発した(株)文明農機から600万円程度で販売される予定であるが、機械利用面積が5haの場合、10a当たりの経費は約3.7万円、10haの場合、約2.4万円となる。利用経費を軽減するためには、石川早生丸から中生、晩生品種まで利用することが望ましい。
- 収穫したいもは、フレコンで選果場等へ搬入する体系が最も省力的となるため、集荷体制が整備された生産者団体や農業公社等による農作業受委託組織での導入が想定される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
規模拡大
さといも
収穫機
出荷調整
品種
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