タイトル |
さつまいも挿苗機 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
2002~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
慣行苗を利用する挿苗機の作業性能は、10a当たり1.5~2.2時間で人力対比4~5倍の能率向上が図られた。植付精度は適応苗条件下で正常植95%以上が確保され、人力補植を必要とせず、大幅な省力化と労働負担軽減効果が期待できる。
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キーワード |
さつまいも、挿苗機、慣行苗、省力化、軽作業化
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背景・ねらい |
本県のさつまいもは約11,800ha栽培され、全作業の労働時間は機械開発と導入が進み、でん粉用途栽培で慣行体系55h/10a、省力化体系27h/10aまで省力化が図られている。 しかし、多くの作業項目のなかで植付作業は唯一機械開発が立ち遅れ、生産者は多労と重労働を強いられている。そのため、本県挿苗栽培条件に適し、植付作業の省力・軽作業化をねらいとした植付機(挿苗機)の開発を行い、甘しょの機械化作業技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発機(I・B社製PVH1-70PBL,PVH1-70PSBL)(図1)の概要は、全長223cm、全幅114~120cm、全高135cm、質量165kgで、慣行苗を人力供給するさつまいも専用植付機である。機構は、畦ガイドローラ部、苗載せ台、苗供給部、植付部(挟持式植付爪)、鎮圧部(植付爪連動鎮圧輪)等から構成され、株間・植付深さ・機体傾斜調節装置等が装備され、植付は1人作業が可能である。また、船底植え・斜め植え仕様の2型式がある。
- 植付精度は苗条件に左右され、苗長との関係は供試した全ての品種において、茎長20~30cm(全長30~45cm程度)が95%以上の適性植付率で良好である。茎長40cm以上、全長50cm以上は70~90%に精度が低下する傾向が見られた。苗曲がりとの関係は苗基部曲がりが大きくなると植付精度は低下した(表1)。
- 植付姿勢は、船底植え仕様で植付深さ10~11cm、植付苗長17~20cm、植付角は約29度である。斜植え仕様は植付深さ12~15cm、植付苗長16~18cm、植付角は約53度である。植付角度は機体前後角の調整により若干の変更は可能である(表2、図2)。
- 作業能率は、青果用(畦幅80cm×株間35cm)で2.2h/10a、加工用(畦幅90cm×株間35cm)1.9h/10a、でん粉用(畦幅100cm×株間40cm)1.5~1.7h/10aで、人力作業に比べ4~5倍の能率向上が図られる(表3)。
- 収量は船底植え、斜植えとも人力植えと遜色はなかった。
- 挿苗機の価格は780,000円で作業負担面積は青果用7ha、加工用9ha、でん粉用11haである。また、損益分岐点は青果用3ha、加工用4ha、でん粉用5ha程度である。
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成果の活用面・留意点 |
- 適応畦幅は75cm以上、適応畦形状は幅40~60cm、高さ15~30cmでマルチ被覆畦に対応できる。
- 株間・植付苗長は、船底植え仕様33~47cm(6段階)、15・20cm、斜め植え仕様25~40cm(6段階)、10~15cmの選定で調節可能である。
- 植付精度・能率向上を図るには、適応苗長は全長で、船底植え仕様25~45cm、斜め植え仕様20~40cm程度である。また、曲がりの少ない苗確保が必要である。
- 直進性や畦中央植付を確保するため、畦ガイドローラや植付部の傾斜機構の調節を適正に行う。
- 後輪トレッドは65~78cmまで無段階調節ができるので、畦幅や畦裾幅等にあわせ適宜調整を行い、走行の安定化を図る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
加工
機械化
機械開発
栽培条件
省力化
品種
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