地域営農モデル策定のためのシミュレーションシステム

タイトル 地域営農モデル策定のためのシミュレーションシステム
担当機関 鹿児島農試
研究期間 2003~2003
研究担当者
発行年度 2003
要約 本システムは線形計画法によって地域全体の所得を最大化する地域営農モデルの試算を行う。試算結果には全営農類型・組織ごとの所得や作付け面積,組織への農地と労働力の提供量が示されるので,組織の活動や各農家の行動の指針とすることができる。
キーワード 組織化,地域営農モデル,線形計画法
背景・ねらい 中山間地域など特定の経営体に農地を集積することが困難な地域では,地域営農の組織化と組織経営体への育成が求められている。そのためには,地域営農の実態や発展段階を踏まえながら組織化のビジョンを示す必要があることから,ビジョンの骨格となる地域営農モデル策定に活用できるシミュレーションシステムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本システムは地域全体の所得最大化を計画目標とし,線形計画法計算プログラム「LP計算」(鹿児島農試他作成)によって地域営農モデルのシミュレーションを行う。
  2. 本システムの単体表は地域全体を一括計算する「全員モデル」の単体表であり,それは全営農類型・組織ごとに作成された最適の作物組み合わせを求める単体表の,技術係数は階段状に左上から右下へ,利益係数は左上から右上へ,制約量は左上から左下へ,それぞれ順に並べて配置したものである(図1)。また,上記に加えて、各類型の農家から組織に対する農地や労働力の提供と組織側での受入を計算するプロセスと制約式、受委託バランスや転作などプロセス間の相互関係を設定できる制約式を追加している。
  3. データ項目ごとに入力シートが設定されており,「計算実行」,「制約資源」,「作物データ」,「労働集中(後述)」の各シートに入力されたデータや前提条件がセル参照式によって「単体表」シートに反映される。したがって,本システムのユーザーは単体表を作成する必要は無い(図2)。
  4. 労働時間データは原則的に月データを使用するが,稲刈りのような短期間に集中して実施すべき作業がある月は「労働集中」シートで別途詳細に設定することができる。
  5. 本システムで策定された地域営農モデルには,組織や各営農類型の所得及び作付け面積,組織の活動への農地や労働力の提供量が示され(図3),別途月ごとの詳細な数値も示されるので、組織の活動と各農家の行動の指針とすることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本システムを様々な地域営農の発展段階に対応させるため、プロセス設定と資源保有設定に若干の工夫を要する。
    例えば,地域営農組織が早期水稲の機械作業を受託する地域営農の場合には、「早期水稲」という作物プロセスを図1,図3のように「早期水稲部分委託」と「部分受託」に分割し,「部分受託」プロセスを組織に設定する。また,組織が農業経営を行う地域営農の場合には、組織に農地・労働力の資源保有を設定し作物プロセスも設定する。
  2. 本システム利用にはExce197以降のバージョンが必要である。
  3. 受委託関係や転作等の設定,試算結果の解釈等に線形計画法に関する知識・技術が必要である。
  4. 本システムは利用希望者に対して配布できる。
図表1 222615-1.jpg
図表2 222615-2.jpg
図表3 222615-3.jpg
カテゴリ 経営管理 水稲 中山間地域

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