タイトル |
線虫対抗植物の緑肥としての効果 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
線虫対抗作物の緑肥としての効果は、ギニアグラスの生産量が安定して高く、線虫抑制効果も高い。また、窒素、リン酸、カリウム還元量も多い。
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背景・ねらい |
早掘バレイショと緑肥作物の輪作体系において、線虫対抗植物は、線虫密度低減効果だけではなく、緑肥作物としての鍬込み効果が期待されているが、この線虫対抗植物の緑肥としての効果を利用した施肥体系、肥培管理技術を確立するため生産力及び土壌に還元した場合の成分量の蓄積程度について評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 緑肥作物の生産量は試験期間4ヶ年を通してギニアグラスが安定して高い。クロタラリアは湿害回避対策により、高収量が得られた年もあったが、湿害に弱く、生産が不安定で、緑肥作物としての利用は難しい。また、ラッカセイの茎葉収量は極めて低く緑肥作物としての効果は小さい。(図1)
- 緑肥作物の窒素吸収量は、カンショで0.42kg/a、ラッカセイでは1.09kg/aのプラス収支である。また、クロタラリア、ギニアグラスはほ場外に持ち出す窒素成分はないので、クロタラリアで6.12kg/a、ギニアグラスで6.23kg/aのプラス収支となる。(図1、図2)
- 緑肥作物のリン酸吸収量は、カンショで0.12kg/aのマイナス収支、ラッカセイで0.06kg/aのプラス収支、クロタラリアは0.51kg/a、ギニアグラスは0.47kg/aのプラス収支である。(図3)
- 緑肥作物のカリウム吸収量は、カンショで1.30kg/aのマイナス収支、ラッカセイで3.05kg/aのプラス収支となる。クロタラリアは4.13kg/a、ギニアグラスは9.13kg/aのプラス収支となる。(図4)
- 生産量および、窒素、リン酸、カリウムの各成分吸収量、還元量から、ギニアグラスの緑肥作物としての効果が安定して高い。(図1、図3、図4)
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成果の活用面・留意点 |
- 適応地域は、暖地バレイショ栽培地域全般である。
- 各作物の品種は、バレイショ:ニシユタカ、カンショ:シロユタカ、クロタラリア:C.spectabillis、ラッカセイ:郷の香、ギニアグラス:ナツカゼである。
- 線虫抑制効果の高いクロタラリア(C.spectabillis)は湿害に弱く、湿害を受けにくい品種や栽培時期を選定する必要がある。
- ギニアグラスはC/N比が高いため、鍬込み量に応じて後作の施肥量を調整する。
- 窒素、リン酸、カリウムの各成分収支は4年連作した合計収支である。
- 各成分収支は施肥量を加味しない緑肥作物持ち出し量と鍬込み量の各吸収量から算出した見かけ上の収支である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
かんしょ
湿害
施肥
ばれいしょ
肥培管理
品種
らっかせい
輪作体系
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