タイトル |
蒸切干加工用の紫カンショ新品種候補系統「九州137号」 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1999~2004 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
カンショ「九州137号」は、蒸切干加工適性が高い初の紫カンショ系統である。既存の青果用や加工用の紫カンショ品種では蒸切干に加工できないが、「九州137号」の蒸切干の色は紫で、中白もほとんどなく肉質や食味も良好である。
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キーワード |
サツマイモ、紫カンショ、蒸切干、加工適性
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背景・ねらい |
カンショ蒸切干産地の茨城県では、消費者の健康志向を背景に製品の差別化を図るため、橙色や黄色などカンショの機能性や希少性に注目した蒸切干製品の開発に取り組んできた。さらに、近年の紫カンショブームを背景に蒸切干加工に適する紫カンショ品種への要望が高まっていることから、蒸切干の色や食味が優れる紫カンショ品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「九州137号」は、平成6年にいもの外観が優れる紫カンショ系統「九系165」を母、赤皮で食味がよい紫肉の在来品種「種子島紫」を父として交配し選抜した系統である。
- いもの肉色は淡紫で、条溝や裂開の発生がなく、いもの外観が優れる(図1)。
- 蒸しいもの食味は「種子島紫」並の「中」で良好である(表1)。
- 上いも重は「種子島紫」と同程度で、「高系14号」より低い(表1)。
- 蒸切干の色は「紫」で中白がほとんどなく、食味は「中」で、蒸切干加工適性が高い初の紫カンショ系統である(表2)。
- 病虫害抵抗性についてはサツマイモネコブセンチュウに「やや強」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「中」である(表1)。
- 貯蔵性は「中」で、「種子島紫」にやや劣る(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 茨城県の蒸切干用カンショ作地域(水戸市周辺)で普及に移される予定である。
- いもの外観が優れ、蒸しいもの食味がよいので青果用としても利用できる。
- 貯蔵性が劣るので、収穫・調製時には丁寧にいもを扱い、貯蔵中の低温や乾燥を避けるよう努める。
- つるぼけすると低収となるので、過度の施肥に注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
加工
加工適性
かんしょ
乾燥
機能性
新品種
施肥
抵抗性
品種
良食味
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