タイトル |
メタン発酵技術を活用した沈澱汚泥処理 |
担当機関 |
佐賀県畜産試験場 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
家畜尿汚水処理過程において、沈殿処理で排出される沈殿汚泥は、pH7.5~7.7と中性であるが、C/N比4.0~5.5とメタン発酵を行うには低い条件化である。しかし、滞留日数60日で発酵処理を行うことで、発酵槽内の水温が平均摂氏20度と低い条件下においても、生成される消化液はBOD等の顕著な成分減少が確認される。
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キーワード |
沈殿汚泥、メタン発酵、消化液
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背景・ねらい |
家畜尿汚水処理技術は、活性汚泥法等の生物処理技術が主流となっているが、畜舎から排せつされる原尿汚水は高濃度であるため、曝気槽に投入する前に沈殿処理等のふん尿分離を行うことが必要となる。しかし、沈殿処理において排出される沈殿汚泥は高水分であり、処理が困難なことから、低コストで簡易な処理方法が求められている。そこで、既存の貯留槽を改造したメタン発酵槽(図1,図2)を作成し、沈殿汚泥を利用したメタン発酵試験(表1)を行い、汚水処理過程における導入の可能性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 沈殿汚泥はpH7.5~7.7と中性であるが、C/N比4.0~5.5とメタン発酵を行う条件としては低濃度である(表2)。
- 平均水温が摂氏16.7~24.0度と低い条件下においても、C/N比が低く、滞留日数が60日間と長く保つことで、BOD等の有機成分の減少が確認される。(表3,表4)。
- 試験期間中のメタンガス濃度は水温の低下とともに減少し、平均ガス量が投入汚泥乾物1kg当たり67Lと少ないため、メタンガス濃度、量を確保するためには、ヒーター等による加温により水温を上昇させ、汚水投入量を増やし高負荷条件にすることが必要となる(表5)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験は、消化液の処理を既存の汚水浄化処理で行うことを前提としているため、ガス発生に必要なC/N比が低く、ガス発生量が低くなるが、消化液は有機成分が減少しているため、汚水処理施設へ戻す際にも負荷は軽減される。
- 発生ガス組成として、窒素が多く含有しているが、沈澱汚泥が原料によるため、脱窒による影響が考えられる。
- メタン発酵施設設置(50kg/日処理規模)にかかるコストは、既存貯留槽を利用し、モルタル、板、防水ペンキ、攪拌機、断熱材等を用いて改造することで約10万円程度となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
コスト
低コスト
メタン発酵消化液
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