タイトル |
ハウスミカン栽培における点滴かん水の効果 |
担当機関 |
佐賀果樹試 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
点滴かん水は、慣行かん水(地表面散水)と比較して同量以下のかん水量でも土壌水分が長く保持され、樹体水分ストレスの軽減効果も高い。ハウスミカン栽培において水戻し期から収穫期に点滴かん水を利用することで、過度の樹体水分ストレスを軽減し、細根量及び根活性の維持が図られる。
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背景・ねらい |
ハウスミカン栽培では品質向上のための土壌乾燥処理を行うが、その結果過度な樹体水分ストレスが付与され樹勢低下の大きな要因となっている。よって少量の効率的なかん水により樹勢の維持・向上を図るため、土壌母材別に点滴かん水が樹体水分ストレスや根群の生育及び果実品質に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 点滴かん水は慣行かん水(地表面散水)と比較して、同量以下のかん水でも点滴孔付近の土壌水分が長く保持される(図1)。よって土壌母材にかかわらず、樹体水分ストレスを軽減する効果が高い(図2)。
- 水戻し期から収穫期まで点滴かん水を行った場合、慣行かん水と比較して点滴孔付近における収穫後の細根量は多く、根活性は高い(図3)。
- 現地栽培園(玄武岩質土壌)において水戻し期以降に点滴かん水を行うことで、慣行かん水と同等以上の樹体水分ストレス軽減効果が得られる。また点滴かん水を用いることで果実品質や浮き皮等に悪影響はみられない(図4、聞き取り調査)。
- 水戻し期以降収穫期まで点滴かん水を行っても、慣行かん水と比較して果実品質への悪影響はみられない(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 図1、図2、図3及び表1は、試験場内の根域制限栽培条件下での試験結果である。処理区の1回のかん水量は点滴かん水区で5~10L/樹、慣行かん水区で10L/樹である。また水戻し期から収穫までの総かん水量は、点滴かん水区で262L/樹、慣行かん水区で287/樹である。
- 現地で点滴かん水を用いる場合、1回のかん水量は粘質土壌で5~10L/樹、砂質土壌では10~20L/樹を目安として行う。
- かん水孔毎に水量調節が可能なタイプを設置した場合、園内の樹勢弱化樹に対するホースかん水の代替としても利用可能であり、かん水作業の省力化が図られる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
乾燥
栽培条件
省力化
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