タイトル |
九州に分布するMBI-D耐性イネいもち病菌の起源は複数である |
担当機関 |
九沖農研 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
九州に分布するMBI-D耐性イネいもち病菌は、Pot2 rep-PCR法に基づく遺伝子型において高い多様性を示す。さらに、優占する遺伝子型が地域ごとに異なることから、複数の起源を持つと推定される。
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キーワード |
いもち病、MBI-D耐性菌、Pot2 rep-PCR、個体群構造解析
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背景・ねらい |
シタロン脱水酵素阻害型メラニン合成阻害剤(MBI-D)耐性イネいもち病菌の分布拡大防止と防除対策を講じるには、耐性菌出現の遺伝的背景を明らかにする必要がある。佐賀県を中心に九州6県から収集したいもち病菌を対象に、シングルプライマー(Pot2-TIR;鈴木ら2004)によるPot2 rep-PCR法を用いた個体群構造解析を行い、耐性菌の遺伝的多様性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 2002年に佐賀県内102地点より分離した404菌株は、シングルプライマーによるPot2 rep-PCR法により得られるフィンガープリントパターン(FP)に基づき37種類の遺伝子型(Sa1~37)に類別される(図1)。
- MBI-D耐性の遺伝子診断結果(PIRA-PCR法)と重ねあわせると、耐性菌の遺伝子型は15種類に類別される。また、耐性菌が広範に分布していた佐賀県内では、特定の遺伝子型(Sa4)が優占している(図1)。
- 2003年に九州6県の83地点より分離した475菌株をFPに基づき類型化すると、耐性菌の遺伝子型は長崎県で2種類、福岡県で5種類、熊本県で4種類、大分県で8種類、宮崎県で3種類が検出される。2002年のデータと合わせて類型化を行うと、耐性菌の遺伝子型は25種類に類別され、各遺伝子型間の類似性に基づくクラスター分析によって大きく3つに分かれる(図2)。
- 佐賀県で優占する遺伝子型Sa4は長崎県でも分離されたが、その他の県からは分離されない。佐賀県ではマイナーであったSa18が、大分県と宮崎県で優占している(図1、図3)。Sa5は4県から検出され、比較的広域に分布している。これらの遺伝子型は、下線で示した異なるクラスターに位置しており、それぞれ起源が異なるものと推定される(図2)。これらのことから、MBI-D耐性菌の出現は、1ケ所で生じたものが分布を拡大したのではなく、薬剤処理によって同時並行的に各地で同じ特性(SDH遺伝子変異)を持つ菌が選抜された結果と推定される。
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成果の活用面・留意点 |
- 本結果は、MBI-D使用地域の多くで耐性菌出現リスクが存在することを示しており、耐性菌出現リスクを考慮したいもち病防除対策構築の基礎資料となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
耐性菌
防除
薬剤
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