鹿児島県における農業由来窒素の環境負荷ポテンシャル

タイトル 鹿児島県における農業由来窒素の環境負荷ポテンシャル
担当機関 鹿児島農試
研究期間 2004~2008
研究担当者
発行年度 2004
要約 鹿児島県における農業生産由来の潜在的窒素発生量は家畜ふん尿由来が62,905t/年、化学肥料由来が18,864t/年、単位耕地面積当たりはそれぞれ476kg/ha、143kg/haの合計619kg/haと推定される。また、本県の農地における環境負荷窒素ポテンシャルは、県全体で52,555t/年、単位面積当たり397kg/haの過剰と推定される。
キーワード 家畜ふん尿、環境負荷窒素ポテンシャル
背景・ねらい 近年、全国的に硝酸性窒素による地下水汚染が顕在化しており、その要因の一つとして農業生産活動との関連性が指摘されている。本県は全国有数の農業県で温暖な気候を活かして多様な農業経営が行われている。その中でも、畜産は全国屈指の生産規模を誇る一方で、多量の家畜ふん尿が産出されており、一部では不適切な処理によって周辺の地下水や湧水が硝酸性窒素で汚染されている事例もみられる。
ここでは、本県における農業生産活動が環境へ及ぼす窒素負荷リスクを検討するため、農業由来の潜在的窒素発生量および窒素収支を由来別、地域別に推定する。
成果の内容・特徴
  1. 本県における農業由来窒素発生量は、化学肥料由来が18,864t/年、家畜ふん尿由来が62,905t/年と推定される。また、単位耕地面積当たりでは、家畜ふん尿由来が476kg/ha、化学肥料由来が143kg/haとなり合計で619kg/haと推定される。これらの推定値は、全国平均に比べて、家畜ふん尿由来が約3.0倍、化学肥料由来が1.4倍、合計値が約2.5倍である(表1)。
  2. 農業由来窒素発生量は地域間差がみられ、最も少なかった大島地域(240kg/ha/年)と最も多かった出水地域(921kg/ha/年)では約4倍の差がみられる(図1)。
  3. 県全体における畜種別の窒素発生量は、採卵鶏およびブロイラーの合計となる鶏からの発生量が25,786tで最も多く、全体の発生量の41%を占めると推定される(図2)。2番目は豚の18,998tで全体の30%を占める。
  4. 養分収支システム(三島ら2003)による本県耕地における環境負荷窒素ポテンシャル(余剰N(投入N量-持出しN量)+未利用家畜ふん尿N量)は、県全体で52,544t/年、単位耕地面積当たりで397kg/haとなり、全国平均の約2.5倍と推定される(図3)。また、環境負荷窒素ポテンシャルは、家畜ふん尿由来窒素発生量が多い地域で高い(図1、図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 硝酸性窒素による地下水汚染等の環境問題の検討や、堆肥センターの設立計画時における堆肥原料の確保等の立地条件を検討する際の参考資料として活用できる。
  2. 家畜ふん尿由来の窒素発生量は、家畜飼養頭羽数に畜種および成長段階別の家畜ふん尿窒素の原単位を乗じて求めた。化学肥料由来窒素発生量は、各作物の作付面積にそれぞれの施肥基準の窒素施用量を乗じて求めた。
  3. 本推定に用いた主な算定基礎は、「第74次農林水産統計」、「農産物等の市町村統計」および「我が国における家畜排泄物発生の実態と今後の課題(原田1997)」に示された畜種および成長段階別の家畜ふん尿窒素の原単位である。
図表1 222892-1.jpg
図表2 222892-2.jpg
図表3 222892-3.jpg
図表4 222892-4.jpg
カテゴリ 肥料 経営管理 施肥

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