タイトル |
超急速ガラス化ウシ胚のストロー内融解、希釈および移植法 |
担当機関 |
福岡農総試 |
研究期間 |
2001~2004 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2005 |
要約 |
超急速ガラス化したウシ胚をストロー内で融解、希釈できる方法の開発により、超急速ガラス化胚のフィールドでの移植が可能となる。
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キーワード |
ウシ、胚、超急速ガラス化、ストロー、融解、希釈
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背景・ねらい |
ウシ胚移植技術が普及するには、農家現場で簡易に融解、移植できる胚の保存技術が不可欠であるが、従来の緩慢冷却法で体外受精胚を凍結保存すると、融解後の生存率が低下する。このため、融解後の生存率が高く、現場で簡易に移植できるウシ胚の保存法が望まれていた。そこで、移植用ストローに格納できる胚保存用具(特願2004-054966)を用いて、生存率が高い超急速ガラス化法でウシ胚を保存して、移植現場の農家庭先で融解、希釈および移植できる手法(FSD法:Fukuoka Straw Dilution)を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 0.25ml容プラスチックストローに超急速ガラス化したウシ胚を保存でき、移植時にはストロー内で胚を融解および希釈できる胚移植法(FSD法:Fukuoka Straw Dilution Method)を開発した(特願2004-341007)(図1)。
- 胚の超急速ガラス化とストロー封入の手法は、まず、ストローに希釈液を吸入し事前に凍結する(図1(ア)1)。次に、胚を用具に滴下し(図1(ア)2)、液体窒素で超急速ガラス化(図1(ア)3①)した後に、磁石で用具を希釈液まで誘導する(図1(ア)3②~③)。その後、液体窒素のデュワー瓶に移し、封閉する(図1(ア)4)。
- 胚のストロー内融解およびガラス化液希釈の手法は、まず、ストローを指で摘んで、パウダーを温めて緩め、余分な窒素ガスを排出する(図1(イ)1)。次に、微温湯に浸し(図1(イ)2)、磁石で用具の滴下部を希釈液層に誘導(図1(イ)3)する。その後、ストローの綿栓を金具で5mm程度押し上げることで、希釈液に浸漬しない場合の胚死滅を回避する(図1(イ)4)。最後に、磁石で用具をつり出し、ストローを移植器に装着して胚を移植する(図1(イ)5)。
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成果の活用面・留意点 |
- 高価なプログラムフリーザを必要とせず、フィールドで超急速ガラス化胚の融解、希釈が可能なため、簡易で低コストな移植技術として利用できる。
- FSD法はウシ胚のほか卵子や他の動物種の標本をストロー内で保存できる。
- 作業に用いるピンセットは非磁性体で熱伝導性の低いセラミックやカーボン製等が適している。
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図表1 |
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カテゴリ |
低コスト
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