タイトル |
ニガナの抗酸化物質とその特性 |
担当機関 |
沖縄農試 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2005 |
要約 |
ニガナに含まれる抗酸化物質はcaffeicacid類縁体及びluteolin類縁体であることを認め、これらは高いLDL抗酸化能を示し、ラットを用いた動物実験において体内吸収性を示す。
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キーワード |
ニガナ、抗酸化、LDL抗酸化能、体内吸収性
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背景・ねらい |
沖縄県の伝統的農産物には高い抗酸化能を有するものが多い。伝統野菜の高付加価値化と消費促進の一助とすべく、抗酸化能が高いニガナ(ホソバワダン(学名:Crepidiastrum lanceo latum Nakai))をモデルとして、その機能性と特性を明らかにする。具体的には、各種分析法を用いてニガナの抗酸化物質の同定を行い、更に抗酸化物質のLDL抗酸化能試験及びラットを用いた体内動態試験を実施する。
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成果の内容・特徴 |
- ニガナエキスを調整後、ゲル濾過及びHPLCによって抗酸化物質を精製し、更にLC/MS、13C-NMR,1H-NMRスペクトル分析の結果から、抗酸化物質の一部はルテオリン-7-O-β-D-グルコピラノシド、ルテオリン-7-O-β-D-グルクロニド、カフェ酸、クロロゲン酸及びD-チコリ酸である(図1)。
- 酸化LDLは動脈硬化の形成において重要な役割を果たしていることが明らかになっている。ニガナに含まれるフラボノイドについてLDL抗酸化能試験を行い、他の代表的なフラボノイドを比較すると、ニガナに含まれるフラボノイドはいずれもLDL抗酸化能を示し、特にルテオリン類縁体はカテキン類と同等のLDL抗酸化能を示す(図2)。
- Wister系ラットにニガナエキスを経口投与し、一定時間毎に採血する。この血液から定法によって血漿を分離し、固相抽出法によって抽出液を調整後、HPLCによって分析すると、チコリ酸等と同じピークが検出される。さらにこの血漿をグルクロニダーゼ及びサルファターゼ処理し、同様に分析すると、ルテオリンが検出されることから、ニガナを摂取することでニガナ由来の抗酸化物質が、血管内でもLDL抗酸化能を発揮すると考えられる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ニガナの機能性を生かした商品開発のための参考データとなる。
- LDL抗酸化能は試験管レベルでの試験であり、動物、臨床レベルでの抗動脈硬化作用の検討が必要である。
- 体内吸収のデータはあくまでもラットを使用したデータであり、ヒト介入試験は行っていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
機能性
高付加価値
そば
伝統野菜
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