タイトル |
玄米の充実不足の数量的評価手法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2006 |
要約 |
高温登熟障害等で発生する玄米の充実不足の指標値を、画像解析により玄米横断面の輪郭の曲率を算出することで抽出できる。この指標値により、高温・寡照がもたらす充実不足の程度やその品種間差異の評価が可能である。
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キーワード |
イネ、充実不足、画像解析、高温登熟、輪郭、評価法
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背景・ねらい |
近年、九州地域を中心とした西日本の広い地域で一等米比率が低下し問題となっている。等級低下の主な理由は夏季の高温・寡照などによる玄米の粒張り低下,すなわち玄米の充実不足である。玄米の充実不足の克服には栽培法や品種の開発が必要であり、その第一歩は充実不足を数量的に評価することである。しかし、現在、玄米の充実不足は検査機関において数値で示されない形質として位置づけられており、数量的に評価する手法はない。そこで玄米横断面の輪郭から、充実不足の程度を数量的に評価する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 玄米の充実不足は、その偏平性や縦溝の深さの達観観察により評価されるため、玄米横断面の輪郭の画像解析(図1)から、偏平性に関する指標値(T値)、縦溝の深さに関する指標値(D値)、および充実不足の総合的な指標値としてT値とD値の合計値(R値)を抽出する。
- 玄米横断面の輪郭の画像解析では、玄米を両面テープで垂直に立てて上から撮影した画像をパソコンに取り込み、二値化後、玄米中心点(幅と厚さを等分する点)からの距離(10-3μm)と角度(10-3度)により輪郭を表現する(図1)。
- 玄米の偏平性を示す指標値(T値)は、玄米中心点から背部維管束方向の角度を0度とした場合の10~20度における輪郭の曲率(輪郭が描くカーブの変化率)の平均値であり、この値が小さいほど偏平性が増すことを意味する(図1、図2)。
- 玄米表面の縦溝を示す指標値(D値)は、T値の場合と同じ見方での50~60度における輪郭の曲率の平均値に負の符号をつけた値であり、この値が小さいほど溝が深いことを意味する(図1、図2)。
- 検査官による達観評価値と各指標値との相関はいずれの値でも有意で、特にR値との相関が高い(-0.770、0.1%水準で有意)。粒重は達観評価値との間に相関が認められず充実不足の指標値にはならない(表1)。
- これらの指標値を用いることで、登熟期の高温条件で玄米が充実不足になること、高温耐性品種「にこまる」では、高温条件でも「ヒノヒカリ」に比べて充実不足になりにくいことを数量的に評価できる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 高温・寡照による充実不足を回避する栽培法や品種の開発に活用できる。
- 1試験区あたりの供試玄米は、圃場試験では坪刈りしたサンプルからランダムに100粒、ポット試験では主稈の穂の先端から3,4番目の1次枝梗上の先端から3,4,5,6番目など特定の着粒位置から8粒程度を用いた。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
高温耐性品種
評価法
品種
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