タイトル |
サツマイモでん粉滓を原材料とした紙マルチの作物適応性 |
担当機関 |
鹿児島農総セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2006 |
要約 |
サツマイモでん粉滓を原材料とした紙マルチは、高温期の地温抑制効果があり、6月から9月にかけて播種、植付する作型に適する。青果用サツマイモでの形状改善効果や秋バレイショでの増収効果が期待できる。
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キーワード |
でん粉粕、紙マルチ、地温抑制、青果用サツマイモ、バレイショ、ゴボウ
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背景・ねらい |
環境負荷軽減への関心が高まる中、サツマイモ加工残さ(でん粉滓)を原材料にした新規の農業資材(被覆資材)が開発されつつあり、これらによるサツマイモや露地野菜等の栽培管理技術を開発する必要がある。そこで、サツマイモでん粉滓を原材料とした生分解性の紙マルチの特性把握と各作物に対する適応性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 紙マルチは6月下旬から9月の高温期で地温抑制効果があり、無マルチよりも地温が抑制される(図1)。
- でん粉粕を原材料とした紙マルチは,雨等により畦表面に張り付くように崩壊し、風雨による飛散が少ない(写真1)。
- 6月~7月上旬植の青果用サツマイモでは、無マルチ並の収量、A品収量であるが、いも長が長くなり長いも率向上の効果がある(表1)
- 8月播きの若掘りゴボウでは、地温抑制効果により、高温による発芽率低下を抑制する。収量は標準栽培の白黒ダブルマルチ並である(表1)。
- 9月植のバレイショでは、地温抑制や乾燥防止効果により地上部の生育が旺盛で、標準栽培の無マルチよりいも個数が増加し、増収効果がみられる(表1)。
- 雑草抑制効果は、6月までの播種、植付では雑草の生育が早く、地上部の生育旺盛なサツマイモ以外は効果がない。厳冬期に向けた9月下旬以降は雑草の生育が遅く、繁茂量も小さいため紙マルチが崩壊しても、雑草が作物生育に与える影響は小さい。
- 以上のように、サツマイモでん粉粕を原材料とした紙マルチは、高温期の地温抑制効果があり、6月から9月にかけて播種、植付する作型に適する。作物は青果用サツマイモ、秋バレイショ、若掘りゴボウが適する(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 高温期播種で発芽が不安定である生育期間の短い夏ダイコンも適すると思われる。
- 紙マルチは、E製紙製の紙マルチC(でん粉粕配合量20%、80g/m2+耐水処理)、紙マルチE(でん粉粕配合量20%、60g/m2+耐水処理)である。
- バレイショでは、紙マルチが夜露等で濡れている状態で出芽する芽もあるが不安定であるため、春バレイショのマルチ栽培と同様芽出し作業が必要である。
- 植付、播種後の雨等気象条件により崩壊に差がみられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
加工
乾燥
ごぼう
栽培技術
雑草
だいこん
播種
ばれいしょ
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