ミカンジュース粕の豚飼料としての利用性と環境負荷低減効果

タイトル ミカンジュース粕の豚飼料としての利用性と環境負荷低減効果
担当機関 佐賀県畜産試験場
研究期間 2004~2006
研究担当者
発行年度 2006
要約 ミカンジュース粕は繊維質とカルシウムの含量が高く、粗蛋白質とアミノ酸の含量が低い。ミカンジュース粕は尿中窒素をふん中に移行させる作用がある。ミカンジュース粕給与によりリンの消化率が低下する傾向があるが、フィターゼの添加により抑えることができる。
キーワード ミカンジュース粕、尿中窒素、リン、フィターゼ
背景・ねらい 食品リサイクル法や飼料自給率向上の観点から食品廃棄物の飼料化が唱えられているところであるが、ミカンジュース粕はその有効な資材としての可能性を期待できる。そこで、ミカンジュース粕の豚飼料としての利用性を確認するために、市販乾燥ミカンジュース粕の成分について検討する。また、近年においてNSPや繊維質の給与により豚の尿中窒素を低減する飼料組成について報告されていることから、市販配合飼料にNSPとしてミカンジュース粕を混合することにより尿中窒素の低減効果が見られるかどうか検討を行う。
成果の内容・特徴 1.市販の乾燥ミカンジュース粕は肥育豚用飼料と比較して粗蛋白質が低く粗繊維やADFの含量が高い。また、製造時に石灰を添加することからカルシウム含量が高い傾向にある。ミカンジュース粕の水分は20%を超えるが、これはミカンジュース粕には吸湿性があり、貯蔵中に水分が増加するものと推測される(表1)。
2.ミカンジュース粕から残留農薬は検出されなかった(表1)。
3.ミカンジュース粕のアミノ酸含量は市販の肥育豚飼料よりも総じて低く、ロイシン、メチオニン+シスチン、リジン、アルギニンの含量が比較的低い(表2)。
4.市販飼料に10%外付けでミカンジュース粕を混合して給与することにより尿中窒素がふん中に移行し、尿中窒素が低下する傾向が見られる。飼料摂取量や窒素蓄積量に影響が出ることはないが、リンの消化率が低下する傾向がある。飼料コストはミカンジュース粕の添加により安くなる(表3)。
5.市販飼料に外付けでミカンジュース粕を15%、フィターゼを500IU/kgを混合し必須アミノ酸を補填して給与することにより、尿中窒素がふん中に移行する割合が高まり、尿中窒素を20%程度低減させることが可能である。飼料摂取量や窒素蓄積量に影響が出ることはなく、フィターゼの添加によりミカンジュース粕の弱点であるリンの消化率低下を補強できる。ミカンジュース粕の混合によりアミノ酸やフィターゼ添加による飼料コスト上昇を相殺できる(表4)。
成果の活用面・留意点 1.CPやアミノ酸の含量を考慮すると、ミカンジュース粕の混合量は最大で15%程度が限度である。
2.市販飼料にミカンジュース粕を10%以上混合する際には必須アミノ酸を添加することが必要である。添加量は市販飼料のアミノ酸含量を実測して決定することが望ましい。
3.ミカンジュース粕(陳皮)の価格は税抜き300円/15kg程度である(2006年度現在、参考価格)。

図表1 223220-1.jpg
図表2 223220-2.jpg
図表3 223220-3.jpg
図表4 223220-4.jpg
カテゴリ 病害虫 環境負荷低減 乾燥 コスト 農薬

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