血糖値測定を取り入れた黒毛和種繁殖牛の分娩予知技術の検討

タイトル 血糖値測定を取り入れた黒毛和種繁殖牛の分娩予知技術の検討
担当機関 佐賀県畜産試験場
研究期間 2005~2011
研究担当者
発行年度 2006
要約 分娩予定日前から、体温の推移をモニターすると同時に、人体用の小型簡易測定器等を用いて血糖値の推移をモニターすることにより、24時間以内の分娩を予知できる。
背景・ねらい 牛の分娩時には難産により子牛が死亡したり、母牛が起立不能になる等の事故が発生することがあるが、分娩日および分娩時刻の予測し、適切な分娩介助態勢を取ることによりこうした損耗を低減することが可能になる。これまでの報告で、体温の変化が分娩予知に応用できるとされており、また、最近では血糖値の変化についても注目されている。牛の血糖値の測定は、採血して臨床化学自動分析装置(以下、自動分析装置)を用いる方法が一般的であるが、人体用の簡易血糖測定器(以下、簡易測定器)が安価に市販されており、これを応用する方法も考えられる。そこで、体温の推移をモニターするとともに、自動分析装置と簡易測定器を用いて血糖値をモニターすることにより、分娩時期を予知できる技術について検討する。
成果の内容・特徴 1.体温は、分娩3日前まで9時より15時が0.3程度高く、差はほぼ一定しているが、分娩2日前から、差が0.2程度に小さくなる。また、分娩直前には前日同時刻より0.3以上の低下が10頭中9頭に起こり、その後、平均19.0±7.8時間で分娩するが、分娩直前以外にも0.3以上の体温の低下がみられるため、1日2回の体温測定のみで分娩を予知することは困難である(図1、図2、表1)。
2.血糖値は、自動分析装置で分娩直前まで安定した値を示し、分娩直前に7頭すべてで上昇、上昇率は上昇前までの平均値と比べ平均32.3±8.5%である。簡易測定器はやや変動が大きいが、分娩直前に7頭すべてで上昇、上昇率は平常値と比べ平均36.0±15.7%である。また、自動分析装置と簡易測定器の測定値の間には高い相関が認められる。これらのことから、10頭すべてで分娩直前に血糖値が上昇し、その後平均13.3±8.8時間で分娩することから、血糖値をモニターすることにより、分娩予知は可能である(図3、図4、表2、図5)。
3.表1、表2に示すとおり、分娩直前、体温の低下が血糖値の上昇より早く現れる傾向があるため、0.3以上の体温の低下に加え血糖値の上昇を捉えることにより、24時間以内の分娩を予知できる。
4.簡易測定器による血糖値測定は、採血する以外、耳や頸部の皮膚または血管を針等で穿刺して少量出血させるだけでも可能であり、また数秒で測定値が出るので、牛舎内で短時間で実施できる。
成果の活用面・留意点
簡易測定器で耳や頸部から直接血糖値を測定する場合は、測定部位の剃毛と消毒が必要であるが、測定誤差と思われるバラツキが生じやすいため、測定部位を念入りに清拭し、2回以上実施することが望ましい。
採血あるいは皮膚や血管を穿刺して血糖値を測定する場合、獣医師に依頼して実施する。
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カテゴリ 簡易測定 繁殖性改善

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