タイトル |
極早生ウンシュウ「上野早生」における高品質果生産のための土壌母材毎の土壌の含水率 |
担当機関 |
佐賀果樹試 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2006 |
要約 |
根域制限栽培「上野早生」は、土壌母材の違いにより夏秋季の葉の水ポテンシャルが花崗岩、安山岩で低下が早く、玄武岩で低下が緩やかで、-0.8~-1.0MPa程を示した際の土壌の含水率は、玄武岩で約30%、安山岩で約25%、花崗岩で約10%の値である。
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背景・ねらい |
佐賀県の果樹産地は、土壌母材の異なる地域に広く分布しており、各産地で根域制限栽培に取り組む場合、培土となる土壌の水分特性等の違いから夏秋期の水管理等が異なることが予想される。ここでは、根域制限栽培の「上野早生」において、佐賀県の主要な土壌母材である玄武岩、安山岩、花崗岩質土壌を培土として、夏秋期の水分ストレス付与特性や果実品質を把握し、土壌母材毎に適切な水管理を行うためにTDR土壌水分計を用いた土壌の含水率と葉の水ポテンシャルとの関連を明らかとする。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌母材に共通して、8月上旬と収穫期の果実糖度には強い相関があり、8月上旬においては葉の水ポテンシャルが-0.8MPa以下を示した樹で高い日増糖量を示す(図1、図2)。
- 7月上旬よりマルチ被覆した場合、花崗岩、安山岩で葉の水ポテンシャルの低下が早く、7月下旬頃に-0.8~-1.0MPa程まで低下を示すが、玄武岩では低下が緩やかであり、その後の変動も小さく推移する(図3、図4)。
- TDR法による土壌の含水率と葉の水ポテンシャルは正の相関を示し、葉の水ポテンシャルが-0.8~-1.0MPa程を示した際の土壌の含水率は、玄武岩で約30%、安山岩で約25%、花崗岩で約10%となる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果における土壌水分は、Campbell社製TDR100を用いて、土壌母材毎にTDR法による測定値と含水率との校正式を作成し、圃場では20cm長さの測定プローブを用いて深さ0~20cmの含水率を1樹1ヶ所測定した。
- TDR法による土壌の含水率の測定では、数社の測定機器が利用可能であり、より安価な機器も販売されているが、それぞれTDR法による測定値と含水率との校正式を作成する必要がある。
- 本成果は根域制限栽培圃場における試験によるものであり、一般のマルチ栽培園地で本成果の水分ストレスと土壌の含水率の関係を利用する場合は、根域の土壌水分を的確に測定できるように土壌水分の測定箇所を増やすなどの対応を取る。
- 水分ストレスの判別には土壌の含水率のみでなく、果実品質や肥大等の樹体の水分ストレス指標を加味する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
水管理
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