タイトル | ミカンキイロアザミウマのエマメクチン安息香酸塩乳剤およびクロルフェナピル水和剤に対する感受性低下 |
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担当機関 | 大分農林水産研安全 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2006 |
要約 | 大分県のピーマンとトルコギキョウから採集されたミカンキイロアザミウマ個体群は、エマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤に対して感受性低下が認められる。スピノサド水和剤に対しては、高い感受性を維持している。 |
キーワード | ミカンキイロアザミウマ、感受性低下、エマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤 |
背景・ねらい | ミカンキイロアザミウマが1990年に国内に侵入し、その後国内全域に分布拡大し定着している要因の一つに、有効な薬剤が限られていることがあげられる。本虫はTSWVの主要な媒介虫であり、TSWVの発生を抑えるためにも薬剤による防除を徹底する必要がある。これまで、本虫に対する殺虫効果を検定した事例はあるものの、その殺虫効果には個体群間差異があるため、地域レベルで有効な薬剤を明らかにする必要がある。そこで、大分県内の個体群に対して、主要薬剤の殺虫効果および有効とされている薬剤の感受性低下レベルを調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1.ネオニコチノイド系薬剤の殺虫効果は、ピーマンおよびトルコギキョウから採集した全個体群とも低い(表1)。 2.合成ピレスロイド剤及び有機りん剤では、薬剤によって一部死虫率の高い個体群が認められるものの、その死虫率は個体群間差異は大きく、総じて殺虫効果は低い(表1)。 3.スピノサド水和剤は、ピーマンおよびトルコギキョウから採集した全個体群に対し高い殺虫効果を示し(表1)、そのLC50値は常用濃度より低く、現時点では感受性低下が認められていない(表2)。 4.エマメクチン安息香酸塩乳剤およびクロルフェナピル水和剤の死虫率はそれぞれ、1.9~93.1%、0~100%と個体群によって殺虫効果に大きな差異が認められる(表1)。これらの薬剤に対するLC50値を見ると、感受性個体群とのR/S比はエマメクチン安息香酸塩乳剤で4.0~4.8、クロルフェナピル水和剤で3.5~14.8と、従来は防除効果が高いとされていた薬剤で感受性低下が認められる(表3、表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ミカンキイロアザミウマの発生にあわせ、スピノサド水和剤を中心とした防除体系を組む。ただし、作目によって散布回数が1~3回までと限られているため、青色粘着トラップを設置し、発生初期を把握すると効果的である。 2.トマト黄化えそウイルスの発生が問題となる地域及びピーマン、花き類等の作目ではミカンキイロアザミウマ発生初期にスピノサド水和剤を散布すると効果的である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 トルコギキョウ ピーマン 防除 薬剤 |