タイトル | ホソヘリカメムシ合成フェロモンはイチモンジカメムシ休眠成虫も誘引する |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2006 |
要約 | ホソヘリカメムシ合成フェロモンはイチモンジカメムシ非休眠成虫ばかりではなく休眠成虫も誘引する。また、夏期に誘引される雌成虫のほとんどは既交尾で蔵卵している成熟成虫であることから、本誘引現象が配偶行動に関与している可能性は低い。 |
キーワード | イチモンジカメムシ、ホソヘリカメムシ、フェロモン、生理状態、ダイズ |
背景・ねらい | これまでホソヘリカメムシ合成フェロモンが同種ばかりではなく、イチモンジカメムシを誘引することが明らかとなっているが、この種間を超えた誘引現象についての生態的意義や誘引機能については不明な点が多い。発生消長調査などの応用場面おいても誘引機能の解明は不可欠である。そこで、ホソヘリカメムシ合成フェロモンに誘引されるイチモンジカメムシのダイズ栽培期間(8~11月)を通した消長を調査する。また、誘引された個体を解剖し、どのような生理状態の個体が誘引されているのかを調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1.ダイズ圃場2ヶ所にホソヘリカメムシ合成フェロモン(50mg)を誘引源とする水盤トラップを設置しイチモンジカメムシ雌雄成虫および幼虫の誘引数を調べたところ、時期により増減はあるものの、ダイズ栽培期間を通してイチモンジカメムシが誘引される(図1)。 2.誘引された雌成虫の卵巣発達程度および交尾の有無を調べたところ、8月から9月に誘引された個体のほとんど(33個体中32個体)がすでに交尾をしており、その多くが蔵卵している成熟成虫である(表1)。 3.10月以降、誘引された雌成虫の蔵卵率や既交尾雌の割合は急速に低下し、10月16日以降に誘引された雌成虫(23頭)はすべて卵巣が未発達で未交尾であり(表1)、休眠個体と考えられる。 4.以上のことから、ホソヘリカメムシ合成フェロモンは夏期の非休眠成虫ばかりではなく、秋期に生息する休眠個体も誘引する。また、8月から9月に誘引された個体のほとんどはすでに交尾をしていることや、休眠個体を誘引することから、ホソヘリカメムシ合成フェロモンにイチモンジカメムシが誘引されるという現象は配偶行動に関与している可能性は低い。 |
成果の活用面・留意点 | 1.非休眠個体のみならず休眠個体に対しても誘引性を示すことから、ホソヘリカメムシ合成フェロモンを利用して年間を通したイチモンジカメムシの誘引消長を調べることができる。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 カメムシ 大豆 フェロモン |