タイトル | イネの形態変化を考慮した簡易な日射伝達モデル |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2006~2006 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2006 |
要約 | 群落における日射伝達を表現する簡単なモデルを作成し、イネの発育にともなう放射特性値の変化を関数化した。これらを用いることで、イネ群落の日射透過率とアルベド、さらに日射吸収率を精度良く求めることができる。 |
キーワード | アルベド、イネ、吸収率、透過率、日射 |
背景・ねらい | 作物群落内の日射環境は、地上部の光合成を律速することで乾物生産を支配する重要な要因である。また、多くの作物生産モデル(SIMRIW、ORYZA2000、AFRC2、CROPGROなど)では、群落による吸収日射量と乾物生産量の比例関係を用いて生産量を予測している。群落の吸収日射量は葉面積に強く依存し、両者の関係がモデル化されている。しかし、多くの作物は生育とともに葉面積だけでなく葉の形態(空間分布や傾斜角)も変化するため、長期間の吸収日射量を評価する場合の問題点となっている。そこで、作物の発育にともなう形態変化を定量化した簡易な日射伝達モデルを提案する。 |
成果の内容・特徴 | 1.群落内のある水平面における日射の反射・透過・吸収を記述する2成分モデル(式1、式2)にいくつかの境界条件と合理的な仮定を与えて解くことで、簡易な日射伝達モデル(式3、式4)を導いた。モデルでは、放射伝達に対する2つの特性値(αおよびF )と葉面積指数から群落での透過率とアルベドを求めることができる。 2.2つの特性値のうち、F値はイネの場合、葉の空間的分布や傾斜角の変化によって生育とともに増加する。生育日数を発育ステージ(DVI )で基準化すると(ここでは単純に、移植~出穂、出穂~成熟の日数で線形変換)、F変化はDVS に対する合成指数関数(式5)で表すことができる。(図1、図2) 3.形態の変化を考慮せずに一定(F =0.5)とした場合には登熟期の日射吸収率を過小評価する傾向があるが、式3~式5を用いることで、群落の日射透過率とアルベド、さらに日射吸収率を、登熟期も含めて精度良く求めることができる。(図3) |
成果の活用面・留意点 | 1.作物生産のより正確な予測に用いることができる。式5のパラメータを実験的に求めることによってイネ以外の穀物にも適用可能である。 2.光合成有効放射(PAR)に対しても、葉の吸収率をPARの波長帯に応じた値に変えることで適用可能である。 3.太陽高度の影響は分離評価しておらず、高緯度地域(60度以上)には適用できない。穂の影響が含まれているが,分離評価することも可能である(発表論文参照)。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
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