タイトル |
熊本県における堆肥の重金属含有率と農耕地への推定負荷量 |
担当機関 |
熊本農研セ |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2006 |
要約 |
熊本県で生産される畜種別堆肥の重金属(カドミウム、銅、亜鉛)含有率は、これまでの全国的な分析値とほぼ同等か下回る。これらの畜種別堆肥の重金属含有率と市町村別の堆肥発生量を基に算出された熊本県における農耕地への年間推定負荷量は、1haあたりカドミウム1g、銅140g、亜鉛670gである。
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キーワード |
畜種別堆肥、重金属負荷量、カドミウム、銅、亜鉛
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背景・ねらい |
熊本県では畜産は農業の重要な一角を占めており、畜産から産出される堆肥は土作り資材として利用されている。今後、資源循環型農業を推進するためには、堆肥の施用により負荷された重金属の動態を把握し、農耕地土壌の重金属量を適切に維持することは重要な課題である。 そこで、熊本県における畜種別堆肥の重金属含有率および農耕地還元による重金属負荷量を明らかにし、熊本県農業施策の資料とする。対象は、農用地汚染防止法で指定されている3元素のうちのカドミウムと銅、および農用地における管理基準値が設定されている亜鉛とした。
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成果の内容・特徴 |
- 熊本県で産出される堆肥中のカドミウム、銅、亜鉛の平均含有率(mg/kg乾物)は、それぞれ、牛ふん堆肥では0.25、30.6、151、豚ぷん堆肥では0.41、198、527、鶏ふん堆肥では0.42、37.7、252であり、これまでの全国的な分析値とほぼ同等か下回る(表1)。
- 三島・松森らのモデルを用いて算出された熊本県における畜種別堆肥発生量と畜種別堆肥の重金属含有率から算出された熊本県農耕地への重金属の推定負荷量は、1haあたり年間、カドミウム:1g、銅:140g、亜鉛:670gである(表2)。
- 市町村別に比較をすると、発生量、年間負荷量ともにバラツキが見られたが、農耕地への年間負荷量が多いと推定された上位3市町村はカドミウム、銅、亜鉛とも同一であった(データはカドミウムのみ示す図1)。
- 重金属負荷量が大きいと推定された3市町村(いずれの市町村も土壌は黒ボク土)での堆肥由来による農耕地への年間の重金属の推定負荷量は黒ボク土の自然賦存量の1~6%に相当する(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 堆肥の分解はマイクロウェーブ加熱分解法(過酸化水素-硝酸)にて行った。
- 肥料取締法における堆肥に対するカドミウムの基準値はない。銅は豚ぷんを使用し300mg/kg現物以上、亜鉛は豚ぷん、または鶏ふんを使用し900mg/kg現物以上含まれる場合には表示が義務づけられている。
- 市町村別の堆肥産出量は三島・松森ら(平成15年度九州沖縄研究成果情報)のデータベースを利用して算出した。
- 重金属のほ場への負荷量は三島・松森らのデータベースから算出されたものであり、実際のほ場への蓄積量を表したものではない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
データベース
鶏
肉牛
豚
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