タイトル | 選択実験を用いた飼料イネ生産継続意向の把握手法 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2006 |
要約 | 飼料イネ生産農家の継続意向は様々な要因の影響を受け、農家の選好も一様ではない。しかし、選択実験を用い推定モデルに潜在クラスモデルを採用することで、類似の選好をもつグループ(潜在クラス)の検出とグループ別の継続意向が定量的に明らかとなる。 |
キーワード | 飼料イネ、選択実験、潜在クラスモデル |
背景・ねらい | 飼料イネの今後の展開と普及においては、生産農家の継続意向を把握することが重要である。しかし、生産農家の意向は所属する生産組織の出役条件や助成金等、様々な外生要因の影響を受け、また、農家の選好も一様ではない。このような各要因下における農家の継続意向を定量的に把握する手法として選択実験を提示し、組織的に飼料イネを導入している熊本県内の生産事例に適用する。また、同手法内において、類似の選好をもつグループ(潜在クラス)の検出とクラス別の継続意向を定量的に明らかにすることが可能な分析モデルとして潜在クラスモデルを提示する。 |
成果の内容・特徴 | 1.選択実験では農家に質問を行う仮想場面が必要であり、その仮想場面の構成要因とその水準(要因の具体的な内容)を設定する必要がある。本分析では図1の生産体制にもとづき、要因と水準を設定する(表1)。そして、設定された要因・水準をもとに選択形式のプロファイルを作成し、分析対象地域の飼料イネ生産農家に提示する。 2.分析モデルの適合度としてはMacfaddenの修正決定係数を用いる。この指標は0から1の間をとり、この値が大きいほど適合度が高い。基準の目安として0.2が一般的に用いられるが、本計測結果では潜在クラスモデルを適用することにより稲作農家の適合度がこの基準をクリアする。葉たばこ農家においても適合度が改善される。(表2)。 3.潜在クラスモデルを採用することにより、クラス別の生産継続確率を導出することができる(図2)。稲作経営では3つの潜在クラスが検出され、助成金低下に対して脱退確率の低いクラス1、脱退確率の高いクラス2、助成金との関係が有意ではないクラス3が検出されている。一方、葉たばこ経営では2つのクラスが検出され、クラス1が助成金低下に対して脱退確率が低い。 4.要因の各水準における農家意向を予測できる。稲作農家では助成金が現状の66,000円/10aを下回るとクラス2で脱退者が予測される。しかし、出役日数を減ずると脱退確率は大きく低下する(図2左)。葉たばこ農家ではクラス2に属するオペレータがやはり現状の66,000円/10aを下回ると脱退者が予測される。現行の2倍の水準に日当を引き上げる等の処置も効果は低い(図2右)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本分析手法により、様々な農村計画における農家意向や意志決定に関わる要因を定量的に把握できる。 2.プロファイル作成にはSASのauto call macro %choiceffによるD-error最小化アルゴリズムを利用した。また、有効回答は稲作農家で20戸、葉たばこ農家で17戸であり、モデル推定にはNLOGITを用いた。 3.本分析手法では要因と水準の設定が重要であり、事前調査による摘出、絞り込みが必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 経営管理 たばこ |