稲わら連用による暖地水稲の増収効果は高温年でも高い

タイトル 稲わら連用による暖地水稲の増収効果は高温年でも高い
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2007~2007
研究担当者
発行年度 2007
要約 暖地における稲わらや稲わら堆肥の連用は、通常の年だけでなく、高温年、低温年、寡照年など天候不良年でも水稲に対する増収効果が高く、特に収量の低い時に大きく、収量や品質の高位安定化に貢献する。
キーワード 有機物連用、温暖化、暖地水稲、収量、稲わら堆肥、麦わら
背景・ねらい 近年、暖地水稲では温暖化の影響と言われる収量や品質の低下が問題となっている。九州沖縄農研では、土壌改善による増収効果を目的に、収穫残渣である稲わらや麦わらなどの有機物資材を有効活用した連用試験を1963年から行っている。この連用圃場のデータを解析することにより、有機物施用が暖地水稲の収量や品質に及ぼす影響を気象条件との関連で評価する。
成果の内容・特徴
  1. 筑後研究拠点における1974年以降の稲作期間(6/25-10/15)の気温の推移を見ると、最高気温と平均気温、最低気温はほぼ同じ傾向で、90年代以降上昇傾向を示す(図1)。また、日照時間は、最高気温(r=0.68**)や平均気温(r=0.49**)と正の相関関係(1%水準で有意)を示す。日照時間と相関のない最低気温と、日照時間を軸として各年次を分類すると、表1のようになり、1998年以降は全て高温年である。
  2. 台風被害年などを除いて、有機物連用の効果を毎年の化学肥料区の収量を100としたときの年区分毎の相対値で比較すると、どの気温区分でも、有機物連用区の収量はおおむね化学肥料区の収量を上回り、特に低収量年で高い傾向を示す(図2)。
  3. 年区分毎の収量比の平均値をみると、稲わら堆肥(2t/10a)連用区が最も増収効果が大きく、次に稲わら(1t/10a)連用区、麦わら(0.6t/10a)連用区で、品質についても同様の傾向で、有機物連用は収量や品質の高位安定化に貢献している(表2)。
  4. 階級区分毎に収量比をみると、麦わら区の多照年を除いて、いずれの気象条件でも有機物連用区では化学肥料区より高く、稲わらや稲わら堆肥の連用は、通常の年だけでなく、低温年や寡照年、および最近問題となっている高温年でも、増収効果が高い(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、暖地の灰色低地土水田地帯における収量安定化のための土壌管理技術および栽培技術確立のための基礎資料となる。
  2. 土壌のT-N量は、試験開始時(1963)に1.9mg(/gds)で、2007年には化学肥料区2.2mg、稲わら連用区2.5mg、稲わら堆肥連用区2.9mg、麦わら連用区2.7mgを示したが、施肥は全処理区ほぼ同じ慣行区(Nkg/10a):5-2-2等)を解析した結果である。
図表1 223382-1.jpg
図表2 223382-2.jpg
図表3 223382-3.jpg
カテゴリ 肥料 栽培技術 水田 水稲 施肥 土壌管理技術

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