牛肉中遊離アミノ酸含量の冷蔵貯蔵による増加量

タイトル 牛肉中遊離アミノ酸含量の冷蔵貯蔵による増加量
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2004~2007
研究担当者
発行年度 2007
キーワード 牛肉、遊離アミノ酸、冷蔵、熟成、貯蔵
背景・ねらい これまでの牛肉評価は脂肪交雑が中心であったが、最近は呈味豊かな牛肉生産を目指し、遊離アミノ酸含量の測定が実施されるようになってきた。しかし、牛肉中の遊離アミノ酸含量は冷蔵熟成によって増加することが知られている。したがって、牛肉中遊離アミノ酸含量の評価に際して、分析までの冷蔵貯蔵日数の影響を考慮する必要がある。そこで牛肉を長期間冷蔵貯蔵した場合の1日当たりの変化量をアミノ酸ごとに明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種去勢肥育牛11頭(平均26.5ヵ月齢、枝肉重量:425.6kg)の屠畜10日目のロース芯を真空包装した後、0、10、30、50日間+3℃で冷蔵貯蔵することによって、ほとんどの遊離アミノ酸(Gln、Tyr、Arg以外)は直線的に増加する(図1)。
  2. 貯蔵日数(日)に対する含有量の増加量は、Ala、Leu、Gluで6.7、5.9、5.2μmol/100gと極めて高く、冷蔵貯蔵による顕著な増加傾向を示す(図2、表1)。
  3. 屠畜後10日目の含有量に対する冷蔵貯蔵1日分の増加割合は、Glu、Asn、Val、Cys、Ile、Leu、Pheで10%以上と極めて大きく、特に旨味において重要なGluは1週間の冷蔵貯蔵で2倍になる(表1)。
  4. 甘みを有するAlaの冷蔵貯蔵による増加量は大きいが、元の含量が多いため増加割合は2.6%と小さい(表1)。
  5. 脂肪含量が多い牛肉では、遊離アミノ酸の原料となる筋肉蛋白質含量が少ないため、冷蔵貯蔵に伴う遊離アミノ酸の増加量が小さくなる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 牛肉中遊離アミノ酸含量のデータを比較する場合に、屠畜から分析までの冷蔵貯蔵期間の違いによる影響を判断するための情報となる。
  2. アミノ酸増加割合と比較すると小さいものの、冷蔵貯蔵によるアンモニアの直線的な上昇(1日当たり22.3μmol/100gで、増加割合1.7%)も認められる。したがって、冷蔵貯蔵によるアミノ酸増加が単純に呈味性向上につながるか否かは不明である。

図表1 223420-1.jpg
図表2 223420-2.jpg
図表3 223420-3.jpg
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