タイトル |
牛の卵管・子宮内環境の季節変動評価 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
夏季の高温環境下では、牛卵管液中の還元物質であるグルタチオン量および、活性酸素除去酵素であるスーパーオキサイドジスムターゼ活性が低下し、酸化還元環境が悪化する。また、着床の場である子宮内では、胚ー子宮の妊娠認識に重要な役割を果たす上皮細胞の生存率が低下する。
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キーワード |
牛、卵管、子宮、グルタチオン、スーパーオキシドジスムターゼ
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背景・ねらい |
夏季の高温環境下では、受胎率の低下による牛の生産性減少が問題となっており、受精、初期胚発生を含む受胎性に暑熱ストレスが影響すると考えられる。しかし、その要因には不明な点が多い。加えて、胚が発育する環境である卵管・子宮内環境に及ぼす夏季高温の影響は不明である。近年繁殖性における暑熱ストレスと酸化ストレスとの関連が注目されていることから、卵管、子宮環境への夏季の高温環境が及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 食肉センターにて採材された卵管液中の酸化還元維持酵素であるスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)活性には季節変動が見られる(図1)。乳牛、肉用牛ともに気温が上昇する時期にSOD活性が顕著に低下し、気温が安定すると回復傾向を示すが、乳牛では残暑期に活性の再低下が見られる。
- 還流卵管液中のグルタチオン(GSH)量の季節変動についても、SODと同様に気温の上昇が始まる時期からの低下が見られ、その低下は乳牛において顕著であり、その後増加に転じる(図2)。
- 受精卵採取時にドナー和牛生体から回収する還流液中の子宮上皮細胞数とその生存率は夏季に著しく低下する(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 夏季の高温環境下での牛卵管および子宮内環境の悪化についての定量的な解析による知見であり、飼養繁殖管理の改善に向けた基礎データとなる。
- と場材料からのサンプリングの際には測定対象物質の変質を最小限にするための注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
季節変動
肉牛
乳牛
繁殖性改善
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