タイトル |
トビイロウンカに対するフィプロニル粒剤およびイミダクロプリド箱粒剤の残効期間 |
担当機関 |
熊本農研セ |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
フィプロニル1%粒剤の残効期間は2005年および1999年に採集したトビイロウンカ個体群で差がなく58日以上である。イミダクロプリド2%箱粒剤の2005年採集個体群に対する残効期間は15~30日で、1999年採集個体群の1/2~2/3である。
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キーワード |
トビイロウンカ、箱施薬剤、残効期間、薬剤抵抗性
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背景・ねらい |
トビイロウンカの防除には、イミダクロプリド2%箱粒剤またはフィプロニル1%粒剤もしくはそのいずれかを他の殺虫殺菌剤と混合した箱施薬剤が広く使用されている。両剤の残効期間は約45日とされているが、密度推移をもとに推定したものであり、正確な残効期間は不明である。また、2005年以降、イミダクロプリドに対する感受性が低下しており、本剤の残効期間が短くなっていることが予想される。箱施薬剤の残効期間は防除上重要な情報である。そこで、水田内に設置した網枠に成虫を定期的に放飼し、両剤の残効期間を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- フィプロニル1%粒剤またはイミダクロプリド2%箱粒剤を箱当たり50g処理し、移植した。移植直後に設置した網枠(3反復)に、2005年および1999年に採集した個体群(表1)の長翅型成虫(枠当たり雄5頭、雌10頭)を概ね15日間隔で放飼し、13~15日後に成幼虫数を計数した。網枠内で老齢幼虫が確認された場合、前回調査日に放飼した成虫の産卵、およびふ化幼虫の生育が可能であり、放飼時に箱施薬剤の残効が失われていたと判断できる。
- 1999年採集個体群に比べて2005年採集個体群の薬剤感受性は、フィプロニル剤で同等、イミダクロプリド剤でやや低下している(表1)。
- フィプロニル処理区では2005年個体群放飼網枠、同1999年個体群放飼網枠ともに、移植58日後から若齢幼虫の寄生が認められる。しかし、成幼虫密度は78日後まで低密度で推移しており、フィプロニル1%粒剤の残効期間は採集年次に関係なく58日である(図1)。
- イミダクロプリド1%粒剤処理区の1999年個体群放飼網枠では、移植45日後から若齢幼虫、58日後から老齢幼虫の寄生が認められる。これに対して、2005年個体群放飼網枠における若齢幼虫および老齢幼虫の寄生は、1999年個体群放飼網枠に比べて15~30日早い(図1)。薬剤感受性の低下により、2005年個体群に対するイミダクロプリド2%箱粒剤の残効は、1999年個体群に比べて1/2~2/3となっている。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験で得られた残効期間は、本田防除時期の目安となる。
- 本試験は、黒ぼく土壌水田における結果である。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
水田
抵抗性
防除
薬剤
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