タイトル |
アスパラガス改植後の土壌理化学性・前作残存根分解からみた生育不良要因 |
担当機関 |
佐賀農業セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
アスパラガス改植後の生育不良圃場では、作土層、次層とも孔隙率・気相率が小さく、特に次層は難透水性が多い。前作残存根の分解率は、炭素、窒素とも春改植では8週間、秋改植では6ヶ月間で約70~80%になるが、分解による窒素の取込みは少ない。
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背景・ねらい |
永年生のアスパラガスでは、定植後10年頃から次第に収量や品質が低下するため改植が行われるが、改植後も新植時と比較し生育が悪く、収量が3割程度減少する場合がみられる。改植後の生育不良の要因として、アスパラガス自身から分泌される生育阻害物質によるアレロパシーが報告されている。しかし、有明海沿岸部の水田転換畑では、有機物や肥料の多量施用による土壌養分集積や物理性悪化による影響も懸念されている。また、改植時に土壌中に多量に残る前作根は、堀採り機により除去してもまだ多くが残存し、改植後に腐食・分解するが、生育への影響は判然としていない。そこで、生育不良圃場の土壌理化学性の特徴および改植後の前作残存根の分解様相を明らかにすることで、生育不良に影響する諸要因を抽出し、改植後の安定生産のための基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- 改植後生育が不良な圃場では、生育が良好な圃場に比較して、腐植含量が少なくCECが小さいが、基準値から判断して、土壌化学性全般に生育に影響するような違いは認められない(表1)。
- 改植後生育が不良な圃場では、生育が良好な圃場に比較して、作土や次層の孔隙率が小さく、特に次層の気相率が小さい(表2)。生育が良好な圃場に対し、生育が不良な圃場では次層が難透水性を示す圃場が多い。
- 春(5月)改植時に前作根がすき込まれた場合、前作残存根の分解は窒素、炭素とも、4週間で約40~50%、8週間で70~80%である(図1)。また、根重は4週間後までに約30%が減少し、その後の減少は緩やかである。
- 秋(9月)改植時に前作根がすき込まれた場合、前作残存根の分解は、2週間で炭素が約15%で、窒素は取り込みがみられるが約7%と少ない(表3)。6ヶ月後の分解は、炭素、窒素とも約75%である。また、残存根量の違いが分解に及ぼす影響は小さい。根重は2週間後に約10%、6ヶ月後に約70%まで減少する。
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成果の活用面・留意点 |
- アスパラガス改植時の土壌改良等の参考となる。
- 有明海沿岸部重粘土地帯(細粒灰色低地土)の水田転換畑に適応する。
- アスパラガス根の分解過程は土壌水分によって異なるので留意する。
- 一般に改植時の前作根量は多くて約10t/10a程度で、根株を除去しても約5t/10a程度が残るが、窒素分解率を70~80%とすると、前作残存根から放出される窒素は約20~23kg/10aとなるため、改植時の窒素施肥量には留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
アスパラガス
改植
栽培技術
水田
施肥
土壌改良
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