タイトル |
2回刈り専用の暖地向き稲発酵粗飼料新品種「ルリアオバ」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2003~2008 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
「ルリアオバ」は、刈取後の再生茎の生育が旺盛で、2回刈り栽培における地上部全重が極多収で稲発酵粗飼料に適した晩生種である。九州南部において茎葉型の2回刈り専用種として利用できる。
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キーワード |
イネ、多収、飼料、ホールクロップサイレージ、2回刈り
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背景・ねらい |
九州沖縄農業研究センターでは台湾品種「Taporuri」の地上部生育量が大きく、また刈取後の再生が旺盛な特性を利用した2回刈り栽培技術を開発し、普及に移した。「Taporuri」の2回刈り技術は現地で2t/10a近い全乾物収量が実証され、現場で普及が望まれている。しかしながら、「Taporuri」は脱粒性が「易」であり、収穫時の子実ロスが大きいこと、採種性に劣ることが現場で問題となっており、「Taporuri」の難脱粒化が求められていた。
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成果の内容・特徴 |
- 「ルリアオバ(旧系統名:THS1)」は、台湾品種「Taporuri」のγ線突然変異に由来する糯種である。
- 脱粒性は“難”で「Taporuri」より明らかに脱粒しにくい(表3)。
- 出穂期は「タチアオバ」より1番草で7日早く、2番草では12日遅くなり、いずれも「Taporuri」並である(表1)。
- 1番草、2番草ともに草丈は“極長”であり(写真1、写真2)、耐倒伏性は「Taporuri」並の“弱”であり、1回刈りでは乳熟期以降の収穫では倒伏しやすい(表1、表3)。
- 1番草の地上部乾物重は「Taporuri」「タチアオバ」並である。刈株からの再生は「Taporuri」並に旺盛であり(写真2)、2番草の地上部乾物重は、「Taporuri」並で「タチアオバ」に明らかに優る。両者を併せた総収量は約2.3t/10aに達し、「Taporuri」並で「タチアオバ」に10%以上優る(表2)。
- TDN含量および茎葉NSC含量は「Taporuri」並で飼料としての栄養価はほぼ等しい(表2)。
- 以上のように脱粒性以外の、早期2回刈り栽培における実用的特性は、「Taporuri」並であり、「Taporuri」と同様に2回刈りして稲発酵粗飼料として利用可能である。
- 2回刈り栽培の適地は、生育期間の気温が高い九州南部である。鹿児島県鹿屋地域等において作付けが予定されており、普及見込み面積は当面50haである。
- 耐倒伏性は強くないので、特に1番草は乳熟期までに刈り取る。また、黄熟期の1回刈り栽培には不適である。
- 再生を確保するため、収穫後は施肥と給水を行う。
- ベンゾビシクロンを含む水田除草剤による薬害を生じるので、これら薬剤を施用しない。
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成果の活用面・留意点 |
- 2回刈り栽培の適地は、生育期間の気温が高い九州南部である。鹿児島県鹿屋地域等において作付けが予定されており、普及見込み面積は当面50haである。
- 耐倒伏性は強くないので、特に1番草は乳熟期までに刈り取る。また、黄熟期の1回刈り栽培には不適である。
- 再生を確保するため、収穫後は施肥と給水を行う。
- ベンゾビシクロンを含む水田除草剤による薬害を生じるので、これら薬剤を施用しない。
- その他栽培上の留意点は研究成果情報「飼料イネ品種Taporuriの2回刈り乾物多収栽培法」
( http://www.naro.affrc.go.jp/top/seika/2007/14konarc/konarc07-02.html)に準ずる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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図表9 |
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図表10 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培技術
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薬剤
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