タイトル |
胚乳が黄色い水稲新品種「初山吹」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1998~2007 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
「初山吹」は、「キヌヒカリ」のガンマ線照射による突然変異に由来する粳種である。胚乳に黄色の新規化合物を含み、精米、飯米ともに明らかな黄色を呈する。
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キーワード |
イネ、突然変異、胚乳、黄色、有色素米
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背景・ねらい |
国内での米の消費量が減少している中で、低アミロース米等の新規形質米や栽培特性を改良した有色素米に対する実需者の注目は高い。特に、有色素米品種については、これらの米を利用した清酒、和菓子等の商品が全国で開発されている。そこで、さらなる米の需要拡大を図るために、従来にない新規性を持った有色素米を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 「初山吹(旧系統名:西海黄256号)」は水溶性の呈色物質を含み、精米が黄色で飯米も黄色い(表1、写真1、写真2)。
- 1998年に農業生物資源研究所放射線育種場において、「キヌヒカリ」にガンマ線照射を行った種子を、国際農林水産業研究センター沖縄支所、九州沖縄農業研究センターで養成した系統の中から選抜された。
- 出穂期・成熟期は「キヌヒカリ」と同じで、暖地では“早生の早”に属する(表1)。
- 稈長は「キヌヒカリ」より5cm程度短い。穂長は「キヌヒカリ」並で、穂数はやや少なく、草型は“中間型”である(表1)。
- 葉いもち圃場抵抗性、穂いもち圃場抵抗性ともに「キヌヒカリ」並の“やや弱”である。白葉枯病抵抗性は「キヌヒカリ」並の“やや弱”である。耐倒伏性は「キヌヒカリ」並の“やや強”で、穂発芽性は「キヌヒカリ」並の“やや易”である(表1)。
- 収量は「キヌヒカリ」よりやや少なく、玄米千粒重は「キヌヒカリ」並の中粒である。食味は、日本晴並の“中の上”である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 2008年11月20日付で品種登録を出願している(出願番号23176号)
- その黄色呈色物質は新規化合物(物質名:oryzamutaic acid A)であることが確認されており、関連特許を出願している(特願2008-245585)。
- ラットにおける単回経口投与毒性試験において、ヒトでの摂取量に相当する投与量で毒性が認められないことを確認している。
- 栽培適地は暖地、温暖地、寒冷地南部である。
- いもち病抵抗性は強くないので、適期防除を行う。白葉枯病抵抗性は“やや弱”なので、常発地での栽培を避ける。
- その呈色性を生かして着色した米飯や清酒などへの利用が考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
いもち病
需要拡大
新品種
水稲
抵抗性
品種
防除
良食味
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