タイトル |
高カロテン、多収で醸造適性に優れるカンショ新品種候補系統「九州144号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1996~2008 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
「九州144号」は、カロテン含量が高く、多収で、貯蔵性やセンチュウ抵抗性に優れる。カロテンを生かした醸造酒や焼酎原料に適する。
|
キーワード |
サツマイモ、βーカロテン、多収、センチュウ抵抗性、醸造適性
|
背景・ねらい |
塊根中にβーカロテンを含む橙肉色のカンショは、ジュースやペーストなどの加工用に利用されている。近年では、カロテンを生かした色鮮やかなワイン風の醸造酒や「コガネセンガン」とは香味が異なる焼酎の原料に利用したいとする実需者のニーズが高まっている。そこで新たな醸造酒や焼酎の原料となりうる醸造適性の優れた高カロテン品種を育成し、カンショを基幹作物とする南九州畑作地帯の農業経営や地域経済の活性化に貢献する。
|
成果の内容・特徴 |
- 「九州144号」は平成8年に、アメリカ合衆国から導入した高カロテン品種「Resist」を母、多収でいもの外観がよい「九系179」を父として交配し、選抜した系統である(図1)。
- 製品の色や香味が優れたワイン風の醸造酒となり、製品歩留まりが高く醸造適性は高い。また、果実や野菜的な香味を特徴とする焼酎ができる((表1)。
- 育成地における上いも重は、標準、早掘栽培ともに「コガネセンガン」より多収である。宮崎県では「ジェイレッド」に比べて収量性が高い(表2)。
- いもの貯蔵性が優れ、βーカロテン含量が「ジェイレッド」より高い(表3)。
- サツマイモネコブセンチュウおよびミナミネグサレセンチュウに強い。黒斑病には「中~やや弱」である(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 宮崎県で醸造酒や焼酎の原料として利用される見込みである(宮崎県における普及見込み面積20ha)。
- 萌芽性がやや劣るので、苗床では晴天時以外あるいは夜間の地温維持に留意する。
- 黒斑病抵抗性が「中~やや弱」なので、種いもや苗消毒を徹底し、圃場管理を適切に行う。
- ネコブセンチュウ抵抗性はSP1レースが優先の試験圃場での結果である。
- 種いもが腐敗・消失し、多くの子いもを着生するなど直播栽培適性に優れる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
図表5 |
|
図表6 |
|
図表7 |
|
図表8 |
|
カテゴリ |
加工
かんしょ
経営管理
直播栽培
新品種
抵抗性
品種
圃場管理
ワイン
|