タイトル |
加工用カンショ系統「九州144号」は直播栽培適性が高い |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2004~2008 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
β-カロテンを含む「九州144号」は、直播栽培で多くの子いもを着生し、品質低下の要因となる種いもの残存率が低い。子いも収量は慣行の挿苗栽培を上回り、でん粉やβ-カロテンなどの品質は挿苗栽培のいもと同程度である。
|
キーワード |
サツマイモ、直播栽培、結藷型、蔓根いも型、β-カロテン
|
背景・ねらい |
でん粉・加工原料用カンショ品種の生産において、種いもを直接圃場に定植する直播栽培は慣行の挿苗栽培より機械化適応性が高く、育苗施設や採苗の手間が省けるため低コスト・省力化が期待できる。直播栽培したカンショは種いもが再肥大した親いもとその子いも、すなわち親いもの根が肥大した親根いも、蔓から伸びた不定根が肥大した蔓根いもを着生するが、挿苗栽培を前提に育成された現行品種は直播適性が劣り、収量の不安定化や品質低下をもたらす親いもの歩留りが大きい。そこで、親いも肥大が小さい「九州144号」を供試し、その直播栽培適性を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 「九州144号」は蔓根いもを多数着生し、親いもの多くは収穫時に腐敗・消失する(図1)。
- 種いも数確保のために行う種いも切断の有無によらず、収穫物に占める親いもの収量比は現行の原料・加工用品種に比較し小さい。また、その収量は挿苗栽培を上回る(図2)。
- 直播栽培のいもに含まれるβ-カロテン含量、でん粉歩留りおよびでん粉白度は慣行の挿苗栽培のものと同等である(図3)。
- 萌芽処理を行うことで高い出芽率と出芽数の増加、あるいは良好な茎の伸長が確保できる(表1)。
- 直播栽培で小いもを多数着生するため、次年度の種いも確保が容易である(図1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 出芽まで日数を要するため、収量確保の観点から慣行の挿苗栽培より1ヶ月程度早めに植え付ける。
- 挿苗栽培と比較し、いも一個重が10~40%小さい。
- まれに親いも肥大が認められるが、その多くが内部褐変や腐敗を生じるため廃棄処分を行う。
- より好適な萌芽処理条件や、萌芽処理が収量性などに及ぼす影響については今後の検討課題である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
育苗
加工
かんしょ
機械化
栽培技術
直播栽培
低コスト省力化
内部褐変
品種
|