タイトル |
根域制限下で細根の表面積や呼吸活性を維持する種子繁殖型イチゴ |
担当機関 |
九州研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
イチゴ実生苗の根系は太い不定根群とこれらから分枝した細い側根群からなる構造を有し、活発な側根の形成能力を持つことで、根域制限下においても表面積や呼吸速度の低下をきたさない。
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キーワード |
種子繁殖型イチゴ、根域制限、根系形成、少量培地耕
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背景・ねらい |
高設栽培に代表されるイチゴの少量培地耕は省力化、軽労化とともに収益性の向上を可能にする栽培技術である。少量培地耕では小さな根域での高い養水分吸収能力が求められるが、根域を制限した少培地量でのイチゴ根の生育特性に関する情報が少なく、技術普及・拡大の障害となっている。そこで、3L、1L、0.2L容量の生分解性不織布ポットを用いてかん水同時施肥により種子繁殖型イチゴを栽培し、根域制限下での根の生育特性や機能的特性を評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 根長に基づく根の量を反映するルートモデルの半径は、いずれの培地量でも直径0.3mm付近と1.3mm付近にピークを持つことから、イチゴの根系は直径1mm以上の太根群と直径1mm未満の細根群に区別される(図1)。太根はクラウン部から発生する不定根、細根はその側根という異なる発育形態の根に対応する。
- いずれの培地量でも太根群に比べて細根群のピークは2倍以上であり、少培地量で多量の細根群が形成される(図1)。
- 根重は培地量が少ないほど減少するが、比根長、根表面積、白色根の呼吸速度では培地量による差が小さく、根長密度、T-R比は培地量が少ないほど高まる(表1)。
- 葉柄長を除く地上部、クラウンの生育および収量に対する根域制限の影響は小さい(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- ルートモデルは直径別の根長を基に作成された図形であり、根系の生育状態と機能を計量化して総合的に判断するための手法の一つである(有馬ら1998)。
- 根域制限下での根系特性は少培地量での超密植栽培、立体栽培など新たな高設栽培技術の開発の可能性がある。
- 少量培地適性を十分に発揮するには、不織布のような高い透水性、通気性と適度な透根性を有する容器資材を用いるとともに好適な培地環境維持と養水分供給が前提となる。
- 栄養繁殖型イチゴへの適用も検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
いちご
馬
軽労化
栽培技術
省力化
施肥
繁殖性改善
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