タイトル |
ワラビー萎縮症発生地域における飼料用夏播きトウモロコシの播種適期 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
飼料用夏播きトウモロコシのワラビー萎縮症は、植物が若い時期に加害を受けるほど激しく発症する。減収を防ぐためには、感受性品種では播種適期のなるべく早い時期に、抵抗性品種でも8月第1半旬までに播種する必要がある。
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キーワード |
フタテンチビヨコバイ、飼料用トウモロコシ、ワラビー萎縮症、被害回避
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背景・ねらい |
2001年以降、九州中部の飼料用夏播きトウモロコシでワラビー萎縮症が発生している。本症状は、葉にコブ状の隆起物が形成され、草丈の伸長が強く抑制されるため収量が低下する。症状を起こすフタテンチビヨコバイは7月中旬から密度が増加し、9~10月に発生ピークを迎えるが、本種に対する薬剤防除は費用や労力の面から困難である。そこで、簡易な耕種的防除技術の開発のため、植物の発育段階とワラビー萎縮症発症との関係を明らかにした上で、ワラビー萎縮症発生地域における飼料用夏播きトウモロコシの播種適期を決定する。
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成果の内容・特徴 |
- ワラビー萎縮症感受性品種「3470」および抵抗性品種「30D44」いずれについても、フタテンチビヨコバイの加害をトウモロコシの若い生育時期に受けるほど、草丈の伸長が抑制される(図1)。
- 飼料用夏播きトウモロコシを、播種適期である7月下旬から8月中旬の異なる時期に播種すると、早い時期に播種した株ほどワラビー萎縮症の発症は少ない(図2)。
- 茎葉乾物収量は、抵抗性品種では播種時期によらず一定であるが、感受性品種では播種時期が遅くなるほど減少する。(図3)。
- 雌穂乾物収量は、感受性・抵抗性に関係なく、播種時期が遅くなるほど減少する(図4)。
- 8月第2半旬以降に播種した場合、有効積算温度は茎葉乾物重の増加には充分であるが、雌穂の完熟には不足している(データ略)。したがって、茎葉乾物収量の減少はワラビー萎縮症によるものであり、雌穂乾物収量の減少はワラビー萎縮症と有効積算温度の不足によるものである。
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成果の活用面・留意点 |
- 圃場試験の具体的データは2007年のみ示すが、2008年も同様の結果を得ている。
- ワラビー萎縮症発生地域における飼料用夏播きトウモロコシの栽培技術として利用できる。
- フタテンチビヨコバイの発生量は年次間の差が大きいので、感受性品種においてワラビー萎縮症の被害を回避できる播種時期は毎年変動する。このため、熊本県中部などの本種の常発地では、感受性品種の栽培は避けることが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培技術
飼料用作物
抵抗性
抵抗性品種
とうもろこし
播種
品種
防除
薬剤
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