小麦新品種「ホクシン」

タイトル	小麦新品種「ホクシン」
担当機関	北海道立北見農業試験場
研究期間	1993～1994
研究担当者
発行年度	1994
要約	小麦心品種「ホクシン」はチホクコムギと比較して、やや早生でやや多収であり、耐雪性、うどんこ病抵抗性、赤かび病抵抗性、耐穂発芽性がチホクコムギより優れる。製めん適性はチホクコムギと同程度かやや優れる。
背景・ねらい	北海道の小麦の作付けの大半を占めるチホクコムギは製めん適性は極めて優れるが耐雪性、うどんこ病抵抗性、赤かび病抵抗性、耐穂発芽性等に欠点があるため、良質小麦の安定生産で多くの困難を抱えていた。そのためそれらの農業特性を改良した良質品種の育成が緊急の課題であった。　「ホクシン」は昭和54年度に早生、多収の「北見35号」を母とし、強稈、良質の「北見42号」を父として人工交配を行い、早生・良質・多収を育種目標として、その後系統育種法により選抜、固定を図ったものである。昭和59年度より小規模生産力試験に供試し、昭和62年度より系統適応性検定試験、特性検定試験に供試し、平成元年度より「北見66号」の系統名を付して奨励品種決定基本調査に供試してきた。
成果の内容・特徴	この品種の主要な特性をチホクコムギと比較すると以下のとおりである。出穂期で5日、成熟期で4日早いやや早生種である。稈長は同程度ないしやや短い。穂長はやや長く、穂数はやや多い。外観品質は同程度であり、千粒重はやや大きく、リットル重は大きい。子実収量はやや多収である。雪腐小粒菌核病抵抗性、紅色雪腐病抵抗性を主体とする耐雪性が優れる。うどんこ病抵抗性に優れ、赤かび病抵抗性にやや優れる。耐穂発芽性が優れる。製粉歩留、ミリングスコアによる製粉特性はやや優れる。アミログラムの最高粘度は高い。蛋白含有率は0.5%程度高い。粉の色の明るさは同程度かやや劣ることがあるが粉の赤みが少なく、黄色みが強く、粉色がやや優れる。ゆでうどんの官能検査のめんの色は同程度かやや優れ、食感は同程度である。
成果の活用面・留意点	「ホクシン」を北海道一円のチホクコムギの一部に置き換えて栽培することにより北海道小麦の生産コスト低減と安定生産、品質の向上を図る。　栽培に当たっては、耐倒伏性はチホクコムギ並であるが十分とはいえないので施肥管理に気をつける。また、耐穂発芽性はチホクコムギより強いが中程度の抵抗性なので適期収穫に努める。（表１）
図表1
カテゴリ	育種うどんこ病コスト小麦新品種施肥抵抗性品種