タイトル |
小麦の硬軟質性およびうどんの官能的品質の簡易評価法 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
小麦粉(全粒粉、ブラベンダー粉)の平均粒度と膨潤度を測定し、組み合わせて評価することにより、小麦の硬軟質性およびうどんの官能的品質に関する情報を簡易に得ることができる。
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背景・ねらい |
うどん原料用として輸入されるオーストラリア産オーストラリアン・スタンダード・ホワイト小麦(ASW)と比較して加工適性(製粉性、製麺性)が劣るとされるわが国の小麦品種の品質を改善するためには、加工適性を客観的に評価できる手法の開発が必要と考えられていた。殻粒の硬軟質性は、小麦粉の粒度との関連が大きいため、製粉時の歩留や効率に影響を与えるとされ、また小麦粉の膨潤度はうどんの官能的評価と相関が高いとされていることから、育種に利用できる簡易な評価手法を設定し、品種系統の評価に適用することを目標とした。
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成果の内容・特徴 |
- 試料として全粒粉あるいはブラベンダー粉を用いることができ、全粒粉を用いることにより調製に要する時間を短縮することができた。
- レーザ回折式粒度分布測定装置と乾式分散ユニットを組み合わせた装置を用いることにより、1時間当たり30点以上の平均粒度(体積基準累積分布曲線から求めた50%値の粒子径)を簡易に測定でき、その変動係数は平均約2%(2 平行測定)であった。
- 膨潤度の測定に、0.1%硝酸銀水溶液を用いることにより、穂発芽などの影響を除いた状態における膨潤度を1時間当たり25点以上測定でき、その変動係数は平均1%未満(3 平行測定および2 繰り返し測定)であった。
- 1990年および1991年産の農林水産省登録品種に適用した結果、平均粒度および膨潤度の年次間相関係数は、それぞれ0.834**および0.859**(n=132)であった。
- 農林水産省登録品種の中にはASWに相当する平均粒度および膨潤度を兼ね備えたものは存在しなかったが、硬質品種の平均粒度は概してASWよりも大きく、チホクコムギの膨潤度はASWと同等であった(図1)。
- 関東番号系統では、関東107号および関東79号の膨潤度がASWと同等であったが、ASWに相当する平均粒度および膨潤度を合わせもった系統は存在しなかった(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 膨潤度の測定の際には、測定者および測定時による分析値の違いを補正するために、標準試料の同時測定が必要である。
- 必要な試料量が少ない(全粒粉を調製する場合には穀粒で2g、ブラベンダー粉を調製する場合には5g)ので、個体別評価に適用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
加工適性
小麦
評価法
品種
ラベンダー
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