タイトル |
窒素栄養条件による米粒の糖含有率およびタンパク質組成の変動 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
窒素施用量が増すほど、また施用時期が遅いほど、水稲米粒中のスクロース含有率は低下し、全窒素(タンパク質)含有率は上昇した。しかし、全タンパク質中に占めるプロラミンの割合は窒素栄養条件によって変化しなかった。
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背景・ねらい |
玄米の有機成分について食味との関連で興味が持たれているが、そのデータは少ない。窒素栄養条件を変えて水稲を栽培し、その登熟過程における米粒のスクロース、アミノ酸等の低分子成分、および貯蔵タンパク質のアルブミン+グロブリン、グルテリン、プロラミン含有率とその組成割合の変動を明らかにする。特に非消化顆粒プロテインボディIに含まれるプロラミンの増加は食味を低下させるのではないかと注目されている。
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成果の内容・特徴 |
- スクロースは出穂20日目以降玄米中に一定量存在する成分であり、収穫期の含有率はコシヒカリで6.4~12.6、日本晴で6.5~9.1gkg-1であった。スクロース含有率は窒素施用量が増すにつれ、また施用時期が遅いほど低下した(第1図)。また、コシヒカリで日本晴より高く、好気象年で多雨年より高かった。
- 玄米中のグルコース、フルクトースおよび遊離アミノ酸は登熟にともない急激に低下し、収穫期の含有率はグルコースがコシヒカリで0.21~0.42、日本晴で0.17~0.36gkg-1、フルクトースがそれぞれ0.05~0.17、0.04~0.17gkg-1、アミノ酸がそれぞれ9~18、5~14mmolkg-1であった。いずれも2次枝梗粒より1次枝梗粒で低く、また粒厚の大きな玄米ほど低下したが、窒素処理によっては変化しなかった(データ略)。
- 白米の全窒素および消化酵素ペプシンを用いた抽出法で分画した貯蔵タンパク質アルブミン+グロブリン、グルテリン、プロラミンの含有率は窒素施用量が増すほど、また施用時期が遅いほど高くなった(第1表)。
全タンパク質中のプロラミンの割合は粒厚1.8mm未満のくず米は精玄米より、また弱勢穎花は強勢穎花より低かった。またインディカ品種のタカナリはジャポニカ品種よりプロラミンの割合が高く、年次間差も見られた。しかし窒素処理によりタンパク質組成割合は変動せず、プロラミンが全タンパク質中に占める割合は窒素栄養条件によって変化しなかった(第2図)。
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成果の活用面・留意点 |
玄米のスクロースは、米の食味が良好と思われる条件で含有率が高いことから、食味との関連が推測されるが、スクロース含有率のみを変動させた試料を作成できず食味試験には至っていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
水稲
品種
良食味
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