水田作経営を対象とする財務管理シミュレータ

タイトル 水田作経営を対象とする財務管理シミュレータ
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1993~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  水田作経営を対象に、農地の購入や機械施設の導入が生産面に及ぼす影響を予測しながら、投資の可否を財務的視点から判断するためのシミュレーション手法を開発した。
背景・ねらい  多額の資金を要する農地購入や機械施設投資を行う際には、それらが生産構造に及ぼす影響を的確に把握した上で、財務的視点からその可否を判断する必要がある。本情報では、そのために開発した財務管理シミュレータの基本構造と法人事例への適用結果を示す。
成果の内容・特徴
  1.  財務管理シミュレータは、(1)生産の予測(作物・品種別のプロセスからなる線形計画モデル)、(2)機械施設の減価償却費計算、(3)長期借入金の元利返済計算、(4)損益計算(費用の一部を回帰式で推定)、(5)資本計算、(6)財務計算の部分から構成される(図1)。これらのうち、(1)は線形計画プログラムを、(2)~(6) は表計算ソフトを使用している。

  2.  このシミュレータをC法人(新潟県)に適用した場合の予測制度は表1の通りである。ここでは経営面積、機械施設装備,人件費、昭和61年までの長期借入金と元利返済額についてはC法人の実際の値を使用し、シミュレータで予測する昭和62年以降の現金・預金額が現実の現金・預金額にほぼ一致するように、必要に応じて長期借入金の借り入れを行うものとしてシミュレートしている。利益(収益-費用)は実際値と予測値の乖離が見られるものの、線形計画モデル及び回帰式を用いて計算される収益及び費用、総資本の予測値は概ね実際値に近く、一定程度の予測精度が確保されている。
  3.  同じくC法人を事例に、本シミュレータを用いた農地購入の可否の判断方法を示すと次のようになる。昭和61年当時(t年)のC法人の生産構造と財務構造を起点とし、水田2haを借入金2千万円(年利率3.5%、22年間元利均等返済)で購入する場合を想定する。この条件下での財務構造を予測すると、翌年には早くも現金・預金がマイナスになってしまう。そこで次に、t+1年に水田3.6haを新たに借入できるとの想定の下で再度シミュレートすると、t+4年目までは財務的にそれほど問題がないことが分かる(表2)。しかし、この場合でも、t+5年のような低単収年(C法人の実際の単収変動パターンを想定)には現金・預金不足や財務諸表値の悪化が生じる。このようにして、種々の条件の下でシミュレーションを繰り返すことによって、農地購入の妥当性を検討する。
成果の活用面・留意点
  1.  農地購入や機械施設投資が財務面に及ぼす影響を比較的迅速にシミュレートでき、経営改善計画の策定などに活用できる。
  2.  作物・品種別の単収水準は、いくつかの変動パターンを想定しておく必要がある。
図表1 223810-1.gif
図表2 223810-2.gif
図表3 223810-3.gif
カテゴリ 経営管理 水田 品種

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