日程計画モデルによる青果用貯蔵甘しょ出荷計画作成法

タイトル 日程計画モデルによる青果用貯蔵甘しょ出荷計画作成法
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 青果用貯蔵甘しょの日別出荷予定数量に基づく農家への出荷割当の実施に日程計画モデルを利用することにより、出荷計画の策定が容易になり、産地の実態に即した出荷方式を検討することができる。
背景・ねらい  市場取引における相対取引が増加する中で、青果用甘しょの産地形成を図るためには、計画出荷が不可欠となっている。青果用甘しょの中でも貯蔵甘しょは、事前に農家の貯蔵量が把握できるため、出荷割当による出荷の計画化は比較的容易であるが、出荷者数が増加すると、日別出荷予定数量に基づく部会員への割当作業に多くの時間を要し、割当の妥当性の検討も困難となる。また、代金決済のプール期間など、出荷方式の変更が農家に及ぼす影響の事前検討も容易ではない。そこで、貯蔵甘しょ出荷計画の策定と出荷方式の検討を支援する日程計画モデルを作成し、甘しょ産地の市場出荷の計画化に資する。
成果の内容・特徴  出荷者から(1)月別出荷希望数量、(2)1日当たり割当希望数量、(3)1週間当たり割当希望回数を出荷申込書等により入手し、日別出荷予定数量を満たすような個別農家の出荷割当を実施するための日程計画モデルを作成した(図1)。モデルの特徴は以下のとおりである。
  1. 代替案の中から条件に応じた計画案の選択ができる。モデルによる計画案は実行可能解であり、一定の評価基準の下での最適計画ではないが、いくつかの代替案として提示されるため、その中から一定の基準を満たす最善な計画案を選択することができる。
  2. 制約条件等のモデルへの導入が容易。甘しょの出荷日による価格変動は、週初めと週末の変動が大きく(図2)、出荷回数の少ない出荷者の割当実施に際しては、出荷日の曜日の連続を避ける必要があるが、これら付加的条件も比較的容易にモデルに導入できる。
  3. 時期別出荷方式の選択及び改善方法を検討できる。出荷割当実績と日別市場価格から農家間の出荷数量別平均価格の分布をみると、小規模出荷者の割合が大きくなる1月と4月の農家間価格差が拡大する傾向にあり、小規模出荷者間でその傾向が強い(表1)。そこで、日程計画モデルによる代替案から各農家の月別平均販売価格を計算すると、2、3月は販売価格の変動は小さく代替案による差も小さいが、1、4月は両者とも大きい(表2)。このようなモデルの適用結果から、割当による変動の大きな期間ではプール期間の延長が必要となるといった、出荷方式の改善に関する情報が入手できる。
  4. 計画開始後の計画再調整が可能。割当結果と実際の出荷データから、計画開始後の生産者や需要者の計画変更に伴う計画の再調整にモデルを利用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 制約条件、計画期間、農家数等から線形計画法等の最適化手法の適用が困難な場合に利用する。
  2. 出荷割当方式を実施するには、生産部会活動を通じた農家の組織化が前提となる。
図表1 223815-1.gif
図表2 223815-2.gif
図表3 223815-3.gif
図表4 223815-4.gif
カテゴリ 出荷調整 評価基準

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