簡易型スポット保冷装置とその品質保持効果

タイトル 簡易型スポット保冷装置とその品質保持効果
担当機関 農業研究センター
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  夏期にには高温となる荷さばき場等では、青果物の品温上昇により品質低下する。そこで夏期にだけ一時保管に使用し他の季節は荷さばきを邪魔しない、垂直可動式の簡易型スポット保冷装置を試作した。荷が市場に到着して次の日の出荷までの一時保管を、約30時間とした本装置による貯蔵試験で、青果物の品質保持が可能であった。
背景・ねらい  青果物の集出荷施設や卸売市場等において、高温期の一時的な保管時における温度管理は不十分であり、これが品質低下の大きな原因となっている。そのため、現場の実情に即した効率的な温度管理(15℃前後に保持)を可能にし、荷さばき場等の開放系施設にも簡単に設置できかつ邪魔にならない、簡便で経済的な保冷装置の必要性が高まっている。
 そこで、経済的で簡便な、青果物保管用の可動式簡易型スポット(局所)保冷装置を製作し、品質保持に役立てる。
成果の内容・特徴
  1. 神奈川県大和市の全農大和生鮮食料品集配センター内に設置した簡易型スポット保冷装置を写真に示す。保冷する青果物の上から覆い被さるため、側面はビニールシート製の蛇腹幕構造を持ち垂直に上下する。折り畳んで収容した場合、フォークリフトの爪が届かない約3mまで上がる。大きさは5m(幅)×3.5m(奥行)×3.2m(高さ)で、6枚(2×3)のパレットが収容できる。冷凍機はエアコン用(最低設定温度15℃、4000kcal)2台を使用している。
  2. 空運転の温湿度測定結果を表1に示す。外気温が30℃の場合でも15~16℃の範囲で保冷され、パレット下部等も冷気が循環するため、装置内温度分布が良かった。
  3. この装置で、夏期の流通過程で品質変化の出やすいホウレンソウ、ニンジン、シイタケ、スイートコーンを貯蔵した。その結果、装置内の青果物の品温は上昇しなかったが、外に放置したものの品温は上昇した(図1)。例えばホウレンソウでは、貯蔵開始時の品温16℃が36時間後でも3℃しか上昇しなかったが、外気温の平均が約25℃で外部放置したものでは、14℃も上昇して30℃になり(図1)、約30時間後には腐敗が生じ始めた。
  4. ホウレンソウのL-アスコルビン酸含量は、内部貯蔵に比べ外部放置したものは急激に減少した(図2)。保冷装置内外で貯蔵した青果物の重量減少、色差計値、糖類含量に差はなかったが、内部貯蔵したものは官能的評価として「新鮮さ」が保たれている。
成果の活用面・留意点  スポット保冷による鮮度保持技術により、集出荷施設などの開放系の物流施設においても、大幅な施設改造を行わずに、局所的で効果的な保冷が可能となり、一時的な保管時における品質低下が防止される。これにより、消費者に品質の良い青果物を供給できるだけでなく、流通過程でのロスの削減により流通コストの低減にもつながる。なお、本装置は青果物の一時的保管用であり、通常の予冷能はなく、また、蛇腹幕の断熱が悪いと幕表面に露が着く。
図表1 223836-1.gif
図表2 223836-2.gif
図表3 223836-3.gif
図表4 223836-4.gif
カテゴリ 温度管理 コスト しいたけ シカ 出荷調整 鮮度保持技術 にんじん 品質保持 ほうれんそう

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