良食味・耐冷性の水稲新品種候補系統「上育418号」の育成

タイトル 良食味・耐冷性の水稲新品種候補系統「上育418号」の育成
担当機関 北海道立上川農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 水稲「上育418号」は北海道で中生の早に属し、良食味で耐冷性を具備した粳種である。本系統を「きらら397」の一部と「ゆきひかり」の一部に替えて作付けすることにより、寒地における産米の食味向上とより一層の安定生産を図る。
背景・ねらい 寒地の粳作付けにおいて、「きらら397」と「ゆきひかり」の2品種は平成2年以降現在まで面積の81.2~91.2%の比率を占めている。このうち、「きらら397」は障害型耐冷性に不安があるものの食味が良いため不適地にまで作付けされ、これらの地帯では品質・食味の劣化や冷害年次の被害が指摘されている。一方、「ゆきひかり」は障害型耐冷性が強く、良質であるが、その食味は「きらら397」に劣り、食味水準としては不十分である。このため、良食味で耐冷性の強い品種の育成を目標に育種を進めてきた。
成果の内容・特徴
  1. 「上育418号」は昭和63年に極良食味品種「あきたこまち」と、早生・耐冷系統の「道北48号」のF1を母、「上育397号」を父として交配し、その後代から育成された。
  2. 「上育418号」の出穂期、成熟期はともに対象品種の「きらら397」、「ゆきひかり」に近く“中生の早"である。耐倒伏性は「ゆきひかり」並かそれにやや劣り、“中~やや弱"。障害型耐冷性は「ゆきひかり」よりもやや強く、“強"である。いもち病抵抗性は「きらら397」に劣り“中"である。玄米収量は「きらら397」にやや劣り、「ゆきひかり」並。玄米品質は両品種並の“上下上"。食味は「ゆきひかり」より明らかに良く、「きらら397」にも優る。
  3. 耐倒伏性、いもち病抵抗性が不十分で、割籾が「きらら397」よりやや多い。
成果の活用面・留意点
  1. 上川(士別以南)、留萌(中南部)、空知、石狩、後志、日高、胆振、渡島および桧山支庁管内において「きらら397」および「ゆきひかり」の一部に替えて作付することにより、良食味米の安定生産を図る。普及見込み面積は38,000ha。
    なお、「上育418号」の栽培にあたっては、以下の点に留意する必要がある。
  2. 耐倒伏性が不十分なので、多窒素栽培は厳に慎む。
  3. 中生種としていもち病抵抗性が不十分なので、発生予察に留意し適正防除に努める。
  4. 割籾の発生が多いので、病害虫の適正防除に努め、適期刈取りを励行する。
  5. 種子生産にあたっては、脱ぷ粒が発生しやすいので、種子の取扱い注意事項に十分留意する。
図表1 223840-1.gif
カテゴリ 病害虫 育種 いもち病 害虫 寒地 新品種 水稲 抵抗性 凍害 品種 防除 良食味

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