半数体倍加系統を用いた小麦の赤かび病抵抗性の遺伝分析

タイトル 半数体倍加系統を用いた小麦の赤かび病抵抗性の遺伝分析
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1995
要約 小麦のF1にトウモロコシ花粉をかけて育成した半数体倍加系統(Doubled Haploid DH)を用い、赤かび病抵抗性の遺伝分析を行った結果、罹病性に関する2遺伝子と抵抗性に相加的に関与する複数の遺伝子を見出した。
背景・ねらい 小麦の赤かび病抵抗性には遺伝子が関与するとされ、環境や年次により抵抗性程度が変動し易く個体レベルでの検定が困難であり、選抜にはかなりの時間と労力を要すると言われている。また、高品質の遺伝資源は赤かび病に極めて弱く、高品質小麦育成の現場では、赤かび病抵抗性の遺伝解析と選抜効率化の技術開発が必要となっている。本研究では、固定系統である半数体倍加系統を用いた赤かび病抵抗性の遺伝分析と選抜技術の効率化を意図した。
成果の内容・特徴
  1. 蘇麦3号の赤かび病抵抗性は「強」、ASW構成品種のGAMENYAは「極弱で」、そのF1からトウモロコシ法により育成した半数体倍加(DH)系統の抵抗性は、連続的であるが、「極強」~「弱」~「極弱」にピークを持つ2群に分離する(図1)。
  2. それらの2群は、3:1に分離するため、蘇麦3号とGAMENYAの間では赤かび病罹病性に関して、効果の大きい2遺伝子の構成が異なっている(図1)。
  3. 「極強」及び「極弱」の程度が両親よりも超越的に分離する系統もあるため、赤かび病罹病性の2遺伝子のほかに相加的に作用する複数の遺伝子が存在する(図1)。
  4. 以上の結果、罹病性の2遺伝子を除去すれば、抵抗性レベルが中程度に上がり、さらに相加的遺伝子の組み合わせにより、「極強」レベルの系統育成が可能である。
  5. フクホコムギとOligo culmのF1由来DH314系統では、「極弱」の集団内で抵抗性の分離が見られ、抵抗性の分離比から、2ないし3個の罹病性遺伝子が存在し、それらの効果は大きくないと考えられる。
  6. ランダムプライマー(Operon社製、10mer)を用いて、フクホコムギ/Oligo culmのDH系統で、赤かび病罹病性に関連し2つの連鎖群に座乗する4個のRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)マーカーを見出した(図3)。
  7. これらのマーカーを利用して、集団内の罹病性個体を効率的に除去できる可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 高品質コムギのもつ赤かび病罹病性遺伝子と他の優良形質との関連に注意する。
  2. 交配母本について、赤かび病抵抗性及び罹病性遺伝子に関する遺伝子構成を確認する。
  3. 赤かび病罹病性のRAPDマーカーは、両親にDNA多型がある組合せで適用できる。
図表1 223879-1.gif
図表2 223879-2.gif
図表3 223879-3.gif
カテゴリ 遺伝資源 小麦 DNAマーカー 抵抗性 とうもろこし 品種

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