タイトル |
葉いもち多発生を招く窒素施肥時期 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
窒素追肥時期と葉いもち多発生との関係をコンピュータシミュレーションモデルを用いて解析し、葉いもち多発生を招く危険性の高い窒素追肥時期は、葉いもち全般発生開始期付近であることがわかった。葉いもち全般発生開始期を予測することにより葉いもち多発生を回避できる適切な窒素追肥時期の指導ができる。
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背景・ねらい |
窒素肥料をいつ、どのくらい施用するかということは米の収量、品質に関与する極めて重要な技術で、イネの生育診断技術の進歩によって個々の水田単位で最適な施用時期、量を示せるようになってきた。一方、窒素追肥により葉いもちが多発しやすくなることは知られているが、葉いもち発病に最も大きく影響する窒素追肥時期についての明確な知見は得られていない。そこで、葉いもち多発生の危険性を回避できる追肥時期を明らかにするとともにコンピュータを利用した的確な追肥時期の予測法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 窒素追肥とイネ体のいもち病に対する感受性の推移の関係(図1)および窒素追肥時期と葉いもち病斑の胞子形成能の関係を葉いもち発生シミュレーションモデル「BLASTL」に組み込み、窒素追肥条件下での葉いもち病勢進展を的確にシミュレートできるようにした(図2)。これは、圃場試験の結果ともよく一致した(図3)。
- 1974年~1993年の気象データ(福島県郡山市)を用い、本モデルによって追肥時期を変えるシミュレーション実験を行った結果、葉いもち発生を最も助長する追肥時期は、葉いもち全般発生開始期に集中した(図4)。
- 以上の結果から、葉いもち全般発生開始期の追肥はその他の時期の追肥に比較して葉いもち多発を引き起こす危険性が高い。
- 本結果と葉いもち全般発生開始期を予測する葉いもち発生予察法の併用により、農家が予定している窒素追肥時期が葉いもち多発を招くか否か予測でき、葉いもち多発生防止のための追肥指導が早期に的確に実施できる。
注)葉いもち全般発生とは、葉いもちがその病斑密度の如何に拘わらず、また、発生時期を問わず、1つの地域内のほとんどの水田に発生している状態をいう。
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成果の活用面・留意点 |
- 本モデルを利用することで、いもち病防除の視点から窒素追肥時期の適否の判断を行うことができ、特に冷害年等不良環境下でのいもち病多発による被害軽減のための肥培管理指導に活用できる。
- 本成果とイネの生育診断技術の両方を勘案することにより、イネの収量・品質を保持し、かつ、いもち病の多発の危険性を回避できる窒素追肥が可能となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
いもち病
水田
生育診断技術
施肥
凍害
肥培管理
防除
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