タイトル |
アネモネに発生した新病害、球根腐敗病 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
窪田昌春
我孫子和雄
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発行年度 |
1995 |
要約 |
アネモネ球根が発芽阻害される被害が発生し、発芽阻害された球根はRhizopus oryzae Went et Prinsen Geerligsに侵されていた。本病害は新病害であり、 球根腐敗病と命名した。
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キーワード |
アネモネ球根、発芽阻害、Rhizopusoryzae、新病害、球根腐敗病
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背景・ねらい |
1994年10月に三重県津市でアネモネの球根の発芽が阻害される被害が発生した。発芽阻害を受けた球根は白色の菌糸に覆われており、糸状菌による病害であると思われたため、本病害を引き起こす病原体を確認し、発病条件、伝染源等を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 本病の症状は、球根が白色の菌糸に覆われ土団子状になり、内部は乾燥条件下では褐変し、高湿下では白色のままペースト状に軟化・腐敗する。病状が進むと内部は層状に分離し白色の菌糸が充満する。密植した場合には、被害株周辺の土壌表面もマット状に白色の菌糸で覆われる(図2)。
- 本病を引き起こす病原体は、生育適温と形態的な特徴から接合菌類のRhizopus oryzae Went et Prinsen Geerligsである(表1、図1)。
- 本菌の胞子のう胞子懸濁液(106個/ml)に浸漬した球根を植え付けると、15~35℃の温度条件下で本病が発生する。
- この温度条件では、球根が発芽するまでには植え付けてから1週間以上かかるのに対し、本菌の菌糸は3~4日で球根を覆い、発芽を阻害する。発芽後の球根、実生、展開後の葉や葉柄に胞子懸濁液、菌叢を接種した場合には、全く異常を引き起こさない。
- 前作で発病した土壌に植え付けた場合、あるいは、本菌の胞子懸濁液に球根を浸漬し、乾燥条件で保存した後に植え付けた場合にも発病する。
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成果の活用面・留意点 |
- 本病を防ぐには土壌と球根の消毒を行うなどの予防対策が必要である。
- 病原体が同定されたので適切な薬剤の登録、選択ができる。
- 本病の伝搬には、土壌伝染、球根の収穫・貯蔵時における感染が示唆される。
- 本病菌は多くの植物を侵す多犯性菌であり、他の球根類にも同様の病害を引き起こす可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
アネモネ
乾燥
薬剤
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